株価はそろそろいったん戻って再度下落する 今の波乱は行き過ぎだが、長い目では正しい

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こうした日本市場の脆弱さを解くカギとして、海外投資家から良く筆者に言われる言葉がある。それは「日本は、経済も市場も、『へり』(margin)だね」といったものだ。つまり、経済にも市場にも、日本はしっかりとした「核」がない、ということを指している。

経済面では、アメリカ経済は、内需というしっかりとした「核」がある。これに対し、日本は輸出依存度(輸出額÷名目GDP)が13.1%と、例えば隣国の韓国よりは低いものの、アメリカの7.8%よりは高い(2016年、総務省統計局「世界の統計2018」による)。

日本が世界経済に振り回されやすいワケ

まあ、輸出依存度が相対的に高いだけで悪い、というわけではないが、2017年年間の日本からの輸出額を品目別にみると、よく指摘されているように、自動車と自動車部品で約2割を占めており、「自動車への依存度が高すぎる」とも言われる。

ただ、それより、一般機械が2割、電気機械が18%を占めている点も注目される。こうした機械類のなかには消費者向けもあるが、半導体製造装置、金属加工機械(工作機械、プレス機械など)、建設・鉱山用機械、産業用ロボットといった、企業向けの最終製品や、それらを支える半導体、電子部品が多い。

つまり、世界の設備投資や建設投資に左右される品目が多いわけだ。こうした投資は、人間の判断によって増減が大きく変動する。世界の景気が持ち直すと、経営者などが強気になって一気に投資を増やすが、景気に陰りが出ると、慎重化して投資が一気に削られることがしばしば起こる。

世界の経済において、設備投資や建設投資は「核」ではなく、その周辺の「ヘリ」として大きく増減するが、日本からの輸出はその「へり」に依存しており、個人消費などの日本の内需の成長性が限られると、日本経済全体が「へり」に振り回されやすいことになる。

こうした日本経済の構造が、日本の株価を振り回すと言えるが、さらに述べたように、海外投資家が、海外の事情によって、機械的に日本株を売り買いすることもある。その際、本来であれば「核」となるべき、日本の機関投資家などが売買に占めるシェアはさほどではなく、結果的に「へり」であるはずの海外投資家の売買に、国内株式市況全体が振り回されているわけだ。

当面の株式市況から、日本経済・株式市場が抱える構造的な面に話が広がったが、これからの日本の株式市況も、上下に大きく波乱を覚悟せざるを得まい。目先1か月程度は株価が戻るとみるが、足元の波乱も踏まえ、今週の日経平均株価としては、かなり幅が広いが、2万0500~2万1800円を予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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