韓国馬が地元G1で日本馬にボロ負けする理由

競馬の「日韓対決」は日本が韓国に「圧勝」

さらに、キム会長は2023年に韓国南東部テグの近くにあるヨンチョンにソウル、プサン、チェジュに続く「第4の競馬場」をオープンさせることを改めて明言した。このプランは以前からあり、政権が代わるたびに浮上しては消えていたが、どうやら本腰を入れるようだ。

一般席。「オヤジゾーン」が残っているのは日本とよく似ている(筆者撮影)

「収容5000人規模の比較的コンパクトな競馬場になりますが、新たにレーストラックを造ることで馬産をさらに振興、拡大させ、需要を増加させていく考えです」

KRAのトップが本気になっているのはいい傾向だ。しかしながら馬産振興という点で、ひとつの足かせになっているのが日本人オーナーに対し、狭き門になっているところだ。韓国競馬の賞金は比較的高く、預託料はそれほどでもない、というのが通説だ。

にもかかわらず、韓国競馬の馬主資格を取っている日本人オーナーはいるにはいるが、現状は10人に満たない。なぜなら「韓国産馬を最低5頭所有すること」という規約がネックになっているためで、ロンドンタウンの薪浦亨オーナーも「韓国競馬は魅力的なので、KRAの馬主になって日本馬を走らせたい気持ちはあるが、韓国の馬を5頭持つのはリスクがありますよ」と話す。

ジャパンカップもかつては「外国の草刈り場」

しかし、今後、馬産振興を促し、「本当に強い馬づくり」を目指すのであれば、このあたりの条件緩和も必要になってきそうだ。また、これまでも日本から韓国に渡った種牡馬は数多く、韓国競馬のレベルアップに少なからず貢献してきたが、いまや世界でもトップクラスになった日本馬の血を本格的に導入することは、韓国側にとって急務とも思える。

また質の向上は当然ながら、底辺拡大も必要だろう。現在、ソウル競馬場に在厩している馬は1300頭。年間のサラブレッドの生産頭数も1300頭程度だという。これは、7000頭前後の日本と比べ、開催規模(毎週金曜~日曜日で2カ所)を考えても、質量ともに見劣る。KRAに聞くと「日本の馬は高いから韓国のオーナーは消極的」とのことだったが、これまで以上にウマはもちろんヒト、モノ、カネといったあらゆる面での日韓交流が不可欠になるのは言うまでもない。

ただ、韓国競馬も評価できる点はある。牧田調教師、薪浦オーナーとも「ファンが多くて、皆さん熱心。おもてなしの心もあって、場内の雰囲気も華やか」と話し、映像面での優れた技術、ファンへの見せ方、伝え方にも好感を持っていた。

一方で牧田調教師は「スタートして100メートルは進路変更できない」というローカルルールの改善を求め、競走馬のレベルに関しては「歴史が浅いので血統面の改良を加え、時間をかけるしかないのでは」と話した。

このように門戸を開放した韓国競馬はいま、いわば黒船が襲来したような状態と言っていいかもしれない。思えば、今年38回を迎えるジャパンカップも苦難の船出だった。第1回はアメリカの二流牝馬メアジードーツにコースレコードを1秒更新され、日本の競馬関係者は「永遠に勝てないのではないか」と強い衝撃を受けた。

第2回の覇者ハーフアイストはアメリカの3歳牡馬で相次ぐ辞退により追加招待された代役。第3回の勝ち馬スタネーラこそG1勝ちの実績はあったものの、このアイルランドの6歳牝馬は来日後、体調が万全ではなく、引き運動とギャロップのみの調整で秋の天皇賞馬キョウエイプロミスに競り勝っていた。いみじくも岩田騎手が語った「歴史」というのはこれらのことも含まれている。

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