徴用工判決で問われる「日韓国交正常化の闇」 韓国大法廷の判決文を熟読してわかったこと

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韓国大法廷で行われた徴用工裁判の様子(写真:ロイター/Kim Hong-Ji)

10月30日に韓国の大法院(最高裁に相当)が「元徴用工」に対して、計4億ウォン(約4000万円)の支払いを命じた判決に対する批判が、日本で収まらない。日本政府は、過去に日韓両政府が合意した内容を否定するものとして、「日韓関係の法的基盤が揺らいでしまう」「100%、韓国側の責任において(解決策を)考えることだ」(河野太郎外相)と強く反発し、韓国政府の対応を求めている。文在寅大統領は判決について発言しておらず、対応に困っていることがうかがえる。

しかし、大法院の判決文を熟読すれば、「韓国側の約束違反」というだけではない、日韓国交正常化時の「闇」も浮かんでくる。

募集広告と全く違う苛酷な労働

判決文はA4用紙約50枚にわたる膨大な量だ。原文にも目を通したが、判決文独特の表現が多いため、正確に理解するのが難しい。そこで日本の有志の弁護士が日本語に仮訳したものを参考にしながら、判決文を熟読してみた。

判決文は大きく、判決主文、事実関係の経過、判決に反対した裁判官と、同意した裁判官の補足意見からなる。

日本は第2次世界大戦中、労働力不足を補うため、日本が統治していた朝鮮半島からも人員を動員した。最初は募集広告を通じ、戦争の最終段階では「国民徴用令」によって、本人の意思に関係なく労働させた。4人の原告について判決文は、一般的呼称である「徴用工」という表現は使わず、強制動員被害者と呼んでいる。その理由は、原告がいずれもが新日鉄住金(当時は日本製鉄)の募集に応じて日本で働くことになったからだろう。

原告のうち2人は1943年頃、旧日本製鉄が平壌で出した、大阪製鉄所の工員募集広告を見て応募した。「2年間訓練を受ければ、技術を習得することができ、訓練終了後、朝鮮半島の製鉄所で技術者として就職することができる」と書かれていた。

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