超金融緩和策で復活する、ハンガリー

来日中のオルバン首相は、アベノミクスの強い味方

すなわち、第1の柱は景気低迷の背景にある中小企業貸し出しの低迷に向けて、中央銀行の資金を、中小企業向け貸し出しを行う銀行に低利(ゼロ金利を含む)で供給する。第2の柱は中小企業の外貨建て融資をフォリント建てに変える金融機関への低利融資、第3の柱は国の短期対外債務の削減だ。第1、第2の柱にそれぞれ2500億フォリント(1フォリントは約0.45円)、計5000億フォリントが手当てされた。

安倍首相もビックリ!?の超緩和策を実施中

これはイングランド銀行のFLS(Funding for Lending Scheme、融資のための資金計画)など他国の例を参考に、外貨建てローンが多いなどのハンガリーの事情に合わせて定めた制度である。

その後すぐに同措置を膨らませ、総額7500億フォリントまで拡張した。これは前年の同国の名目GDPの2.7%に相当する。さらに9月11日には、なんと「2兆フォリント」を年末までに追加する準備があることをマトルチ総裁が表明。運転資金目的でも出すなど、驚くべきハイペースの資金供給拡大措置を行っており、今後のオルバン政権の「経済復興計画」の重要な要となっている。

一連のハンガリーの金融緩和策は、日本銀行のマネタリーベースの拡張額の規模に比べ見劣りする。だが、わが国の措置は単純な理論で考えれば、現金・預金比率に左右される信用乗数の動きによっては、マネーサプライ(マネーストック)ベースでどうなるのかわからない。また、与信ベースでの供与先がコントロールできない日本銀行の措置に比して、政策で意図したエンドユーザーのところで資金が増える蓋然性が増すという特徴がある。

実は、日本銀行にも前総裁時代の2010年に定めた「成長基盤強化を支援するための資金供給」というスキームがある。これは医療・介護、環境・エネルギー、アジア展開などより広範囲な目的であり、円貨建てで特則も含み総額4.5兆円+ドル建て特則120億ドルの規模となる。

一方、ハンガリー中銀は、日本銀行のスキームも参考にしたフシはあるが、かなり趣を異にする。ハンガリーでは、中央銀行に金融監督庁を合流させ、ハンガリー中央銀行が金融監督まで請け負うこととなった。

銀行同盟はユーロ圏の銀行を主要な対象としており、ハンガリー最大の国内系銀行OTP銀行(旧貯蓄銀行)などは、当面はECBの傘下に入らずに中央銀行がモニタリングを行う。同国ではリーマンショック前に外貨建て住宅ローンが流行し、スイスフラン建てのローンを中心に、円建てローンも行われた。こうしたローンが自国通貨フォリントの大幅下落によって、返済困難となったために現在も不良債権比率が高く、綿密な監視が必要となっている。

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