ベンツ新型Aクラス、「話せる」進化の舞台裏 「AI音声認識」を入門車から初導入の狙いとは

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新型Aクラスのインストルメントパネル(インパネ)周り。高解像度ディスプレイを並べて配置した。画面の表示内容は自由にカスタマイズできる(撮影:今祥雄)

従来の音声認識は「レストランを探して」「室温を1度上げて」といった一定の定型コマンドに反応するだけだったが、MBUXでは「お腹が空いた」「寒いよ」と言うだけでその意図をくみ取って反応してくれるのが特長。AIによる学習能力も備え、新しい流行語や俗語なども学んで進化していく。

国内で販売される車両の開発では、日本にいるメルセデス開発チームを中心に日本語への対応を進めた。起動キーワードも「ハイ、メルセデス」か「ヘイ、メルセデス」にするか開発過程で社内では議論があったといい、結果として日本人がなじみやすいと思われる「ハイ」に決まったという。

AIアシスタントは室内用や車載用などさまざまなデバイスで利用が進んでいるが、アマゾンの「アレクサ」やグーグルの「グーグルアシスタント」などITテクノロジー系のほぼ独占状態。トヨタ自動車が一部車種でアレクサを搭載することを決めたほか、ルノー・日産自動車・三菱自動車工業の3社連合はグーグルの基本ソフト(OS)をベースにした車載システムを開発することで同社と提携した。

伝統的な自動車ブランドであるメルセデス・ベンツが、大手テクノロジー企業の傘下に入らず、外部との提携も生かしながら独自のシステムを開発し実用化したことは画期的だ。ダイムラーのMBUX担当マネージャーのトビアス・キーファー氏も「自社で開発したことが将来的に大きな差別化になる」と話す。

MBUXが若者攻略の武器に

Aクラスは国内販売台数ではCクラス、Eクラスと並ぶ売れ筋の車種。前モデルの発売年だった2013年には1万2440台、モデル末期だった昨年でも5396台を販売。昨年はAクラスの貢献もあり、メルセデス・ベンツは5年連続で販売台数の最高記録を更新し、3年連続の国内輸入車ブランド首位を達成した。新モデルについて、MBJの上野社長は「前モデルよりはるかに台数は出る」と鼻息が荒い。

新型Aクラスに最新機能「MBUX」が搭載されることもあって、発表会には多くのメディアが詰めかけた(撮影:今祥雄)

ただ、メルセデス・ベンツブランドのエントリーモデルの位置づけであるAクラスユーザーの平均年齢は、ブランド全体の平均50代ともそれほど変わらないという。比較的所得の高い30~40代など若年層に食い込み切れていないとも言え、それだけ開拓の余地は大きい。

他社ブランドからの乗り換えが多いと言われるAクラスにMBUXが搭載されたことは、車内でもスマホと同じような使い勝手を求める若者を攻略する上で大きな武器になりそうだ。

岸本 桂司 東洋経済 記者

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きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

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