本田圭佑と中田英寿が映すキャリア観の変化 転職も副業も当たり前になってきた

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従来、日本におけるプロスポーツ選手の象徴的なキャリアは、プロ野球、巨人における長嶋茂雄氏や王貞治氏のように、1つのチームで新人時代から晩年までを過ごし、同じチームで引退する、というものでした。ある意味でかつての日本企業に脈々とあった、新卒採用から定年までの終身雇用と同じような構造だったと言えるでしょう。

一生現役のスタイルを体現するカズ

そうしたスポーツ選手の典型的なキャリアのイメージを大きく変えた選手と呼べるのが、カズこと三浦知良選手でしょう。

三浦知良選手は、ヴェルディ川崎の中心選手としてJリーグを牽引し、アジア人初のセリエAプレーヤーにもなり、後の日本人選手の欧州挑戦への扉を開いた選手でもあります。

その後、クロアチア・ザグレブ、京都サンガ、ヴィッセル神戸を経て横浜FCに移籍。シドニーFCへの挑戦などを経て、50代になった今でも現役選手としてプレー。Jリーグ最年長得点記録を更新し続け、「リーグ戦でゴールを決めた最年長のプロサッカー選手」としてギネス世界記録にも認定されているほどです。

ある意味、1つの会社に終身雇用で勤めるのではなく、サッカー選手という職業に人生を捧げている一生現役のスタイルを体現していると言えるでしょう。

三浦選手は1967年生まれですが、1960年代生まれから1970年代生まれを中心として、幅広い世代に支持されるスタイルなのではないかと思います。

一方で、中田英寿選手は、サッカー選手としてのキャリアの頂点で現役引退を表明したことで、一部のサッカーファンからは批判の対象にもなっていたようですが、現在では日本酒の魅力を世界に広める活動に注力されています。

中田選手は三浦選手と10歳違う1977年生まれ。1970年代後半生まれから1980年代生まれの、ある意味、転職することが徐々に珍しくなくなってきた世代のシンボル的な存在とも言えるかもしれません。

ちなみに、今年惜しまれながらも引退をした安室奈美恵さんも1977年生まれ。中田選手も安室さんも、どちらもキャリアのピークにおいて引退を表明し、惜しまれながら違う形での人生を再スタートするという意味で、世代を代表する存在のように感じます。

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