「ホテル空白地帯」渋谷は東急開業で変わるか

潜在力は高いが、「ピント外れ」が3点ある

また、千代田区には帝国ホテルやニューオータニ、新宿にはパークハイアットやヒルトン東京、港区にはオークラ東京やザ・リッツ・カールトン東京をはじめ街を代表するようなホテルがあるが、渋谷にはそのようなホテルが見当たらない。

また、あるメディアが実施した全国のホテルを対象とした「自腹で宿泊して満足したホテル」という調査では、渋谷区からは100位以内に1施設もランクインしていない。こうしたことから、渋谷は「ホテル空白地帯」とも言える状況だ。

では、渋谷にホテル需要がないかといえば、そんなことはない。まず、インバウンドに関しては、この夏の災害等の影響はあるものの増加基調は変わらず、政府が掲げる2020年までに訪日外国人観光客を4000万人にという目標は、このままなら五輪需要を上乗せすれば十分達成可能な数字であろう。この数字を前提とした場合、今後の増加分を踏まえても都内のホテル客室数の不足が推計される。

将来にわたるホテル需要を逃している東急グループ

2020年以降に関しても、総合不動産サービス会社のCBREは、「国際観光の増加が世界的な潮流となっていることやアジア太平洋地域におけるインバウンド需要はアメリカ州のそれを上回ることなどから、日本のホテル需要も2020年の東京オリンピック・パラリンピック後も拡大を続ける」とレポートするなど、継続的な増加を予想する見方は多い。

特に渋谷は、2019年度に完成する「渋谷スクランブルスクエア東棟」の最上部に、スクランブル交差点を見下ろす展望施設ができる。渋谷を代表する観光施設になりうるこの展望台はかなりの集客が見込まれ、渋谷の観光客はより一層増えるだろう。

また、観光客のみならず、東急グループが手がける渋谷駅周辺再開発プロジェクト全体で新たに創出されるオフィスは、最終的には総賃貸面積が約27.2万㎡(東京ドーム約6個分)にのぼり、ビジネスユースのホテル需要もかなり見込まれる。

にもかかわらず、東急グループが手がける渋谷駅周辺再開発プロジェクトにおいては、今後、新たなホテルを建設・誘致する計画はなく、恵比寿、原宿、青山などを含む広域渋谷圏まで広げても「開発の可能性がゼロというわけではないが、現時点ではホテル計画をお伝えできるものはない」(東急電鉄広報課)という。

以上を総合すると、渋谷ストリームのホテル客室数が177室というのは心もとない。渋谷の開発の主導権を握る東急グループは、みすみす将来にわたるホテル需要を逃しているように思えてならない。

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