「ホテル空白地帯」渋谷は東急開業で変わるか 潜在力は高いが、「ピント外れ」が3点ある

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なお、参考までに他社の動向を見ると、ドンキホーテHDがドンキホーテ渋谷店跡地に2022年4月の竣工を見込んでホテルを含む複合施設の建設を進めるほか、三井不動産もホテルを含む「新宮下公園」整備事業を推進する。ただし、この三井不動産の案件は、渋谷区との間で交わした土地の定期借地権契約に関して、巨額の不当値引き問題が浮上している。

② ミレニアル世代を取り込めない

次に、ストリームエクセルはこれまで東急ホテルズが苦手としてきた若い客層、特にミレニアル世代の取り込みを狙っているという。

フロント、ロビー、バー&ダイニングの境目をなくし、誰でも気軽に使える雰囲気づくりを行った(写真:東急ホテルズ)

そのため、日常に溶け込むように泊まれる「ライフスタイルホテル」を目指し、フロント、ロビー、バー&ダイニングの境目をなくし、誰でも気軽に使える雰囲気づくりを行った。また、ファッションや音楽など渋谷らしいカルチャーを発信すべく、バー&ダイニングにはDJブースを設けるなどした。

狙いとは裏腹に大人向けの上質な空間だった

しかし、実際に宿泊してみて感じたのは、狙いとは裏腹に、明らかに大人ウケするホテルだということだ。宿泊料金が必ずしもお手頃ではなく、また、渋谷エクセルが明るい色調のインテリアを基調としているのに対し、ストリームエクセルは、「夜のシーンをメインに考えている」(杉野氏)ことから、「ヴィンテージモダン」をコンセプトに全体的にダークカラーを基調としている。そのため、特に日暮れ後はバー&ダイニングも客室も、上質な大人向けの空間という印象になる。

感度の高い大人向けのホテルというのなら、これでまったく問題がない。しかし、若い世代とのマッチングの意味なら、少なくともインテリアデザインなどに関しては、今年2月に渋谷にオープンした、アパレル大手「ストライプインターナショナル」が手がける「ホテルKOE東京」などのほうが、狙いに合うのではないか。

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