「職場恋愛」が面倒な人と夢見る人の大きな差 企業が「野暮なルール」を課すのも致し方ない
小川:褒め言葉の裏に隠された意図があるのか、それによって別の関係に持ち込もうとしているのか、そこがあいまいなままだと、それを悪用する人が出てくるということもあるのだと思います。「髪切った?」もいけないとか、小学生みたいな規則だと思いますけど、今になって多くの企業がわざわざ野暮に見えるルールを敷くのは、これまでさんざんルールを無視してきた人たちがいたからです。
「そんなルール、厳しすぎない?」と反感を覚える人は、過去にルール違反をしてきた人に対して反感を持ってほしいなと思います。
男性が「被害者」になる可能性もある
小川:男性からも、職場の女性から強引なアプローチをされて困った、という話を聞くことがあります。
たとえば、夜中に酔っ払った取引先の女性が突然、自宅に押しかけてきたとか。玄関先で女性が「凍死しちゃうから中に入れて!」と言うから、仕方なく部屋に入れると、無理やりベッドの中に入ってきたという話でした……。
林:えー! そんなことが実際にあるんですか! 非常に迷惑な話ですね。
小川:良くないですよね。
林:女性に比べて男性の場合、「力でなんとか防げる」という部分もある。もちろん女性がナイフを持っていたり、後から「レイプされた!」と警察に駆け込んだら話は別ですが、身体の構造上、男性が反応しなければ成立しません。また妊娠の可能性についても、圧倒的に女性のほうのリスクが高いのも事実です。
小川:確かに男女の非対称性は存在します。ただ、男性の性被害も「ほとんどない」ことにしてはいけない話だと思っています。さっきの話を本人が友人に話すと「モテて良かったじゃん」と言われることがあるそうですが、本人が嫌がっていたことを「モテ」と変換するのは変な話だと思います。
内閣府で「男女間における暴力に関する調査」というものが3年に1度行われているのですが、最新の調査結果では「無理やり性交などをされたことがあるか」という質問に対して、「ある」と答えたのは女性が13人に1人、男性は67人に1人の割合でした。これは決して少ない数字ではないと思います。
林:非対称だからといって男性の被害を矮小化することもできませんね。
小川:みんながお互いに相手のことを尊重して恋愛ができていれば、職場における厳しいルールは不要だけれど、今はまだそこまで社会が成熟していないのではないでしょうか。あと、職場でそういうルールがあっても、だから絶対的に恋愛ができないかというとそんなこともなく、ルールを乗り越える本当の恋もきっと生まれてくるとも信じています(笑)。