「職場恋愛」が面倒な人と夢見る人の大きな差 企業が「野暮なルール」を課すのも致し方ない
林:確かにいくら職場のルールで厳しく禁じられても、恋に落ちる人は落ちますよね。
なんでも恋愛の文脈にする「勘違いおじさん」
林:また男性の中には、職場で部下の女性が笑顔で接していると、勝手にそれを恋愛の文脈でとらえてしまうケースも存在すると聞きます。
小川:残念ながら「おじさんたちの勘違い」は存在しますよね。労働ジャーナリストの金子雅臣さんの著書『壊れる男たち――セクハラはなぜ繰り返されるのか』で、金子さんが実際にセクハラの被害者、加害者両方から話を聞いたケースが紹介されているのですが、加害者側は「笑っていたから彼女もその気なんだと思った」「彼女は美人だから男性経験も豊富なはず。嫌がって見せたのは彼女の駆け引きだろうし、自分の誘いが本気で嫌なら断ろうと思えば断れた」など、妄想というか勘違いが甚だしいです。
最近はなんでもかんでもセクハラセクハラって……って思う人は、『壊れる男たち』や『部長、その恋愛はセクハラです!』を読んで、やばいケースが普通にあることを知ってほしい……。
林:特に美人については、小川さんの著書『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』の「美人とセクハラ」の章でも詳しく論じられていますね。
小川:性被害に遭っても「騒ぐのはブスだけ、美人は黙っている」と、糾弾した側をおとしめる風潮や、美が求められる(と思われる)業界に身を置く女性には「ルックスを武器に仕事をしているんだから、多少のセクハラも性被害も我慢しろ」という偏見や「していいはずだ」という加害者目線も存在しますね。
林:僕はライフワークとして『美人インタビュー』というものを行っていまして。「何歳ぐらいから自分が美人だと気づいたか」「美人に生まれて良かったか」「美人で良かったこと、得したこと」といった質問を美人にしているんです。話を聞いたなかには、自ら「美人であることは、パスポートだ」と語る人もいました。
営業職や編集者など仕事の場でも、美人だと取引先に受け入れられやすいとか、パーティーの場でも注目されて顔を覚えてもらいやすい……など得することも多いと彼女たちは言うのです。