トヨタ「世紀の提携」の先に抱える大きな難題 次世代のカギ「MaaS」に販社をどう組み込むか

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これをトヨタに当てはめてみると、トヨタが理想を追っていくうえでの難題の1つとは、ディーラー(販売店)再編だといえる。ソフトバンクとの電撃会見ですっかり影が薄れてしまったが、9月末に新聞各紙が「2025年までに、トヨタ販売チャンネル4系統(トヨタ店・トヨペット店・カローラ店・ネッツ店)で同一車種販売の販売を開始。それに伴い車種が現状から半減する」と報じた。

業界筋によると、これは11月に開催される全国のトヨタ販売会社向けの会議で発表される内容が社外に漏れたという。この報道の真偽は現時点で不明だが、トヨタとしてディーラー再編を行わなければならない状況にあるのは確かだ。

ディーラー再編に及ぶきっかけは、トヨタがモビリティサービスプラットフォームと呼ぶクラウドを使った情報管理システムにある。各車両に搭載するDCM(データ・コミュニケーション・モジュール)を介して車載データをトヨタが一元管理できる仕組みだ。7月に発売された、新型「クラウン」と「カローラスポーツ」を皮切りに、世界で販売されるトヨタ各車に搭載される。こうした車載データは、車両の走行データだけではなく、顧客の個人情報も一部含まれる。

こうして、自動車メーカーと顧客が直接つながるコネクテッドカーの本格的な運用開始によって、自動車メーカーと自動車ディーラーとの関係性が大きく変わる。将来的にはECによる、自動車メーカーの新車ネット直販も始まる。実際、独ダイムラーは2018年3月のジュネーブモーターショーで「2025年までに世界販売の25%をEC化する」と宣言している。

トヨタは各ディーラーに、こうしたコネクテッドカーの重要性と時代変革をこれまで段階的に説明してきた。だが、トヨタ系ディーラー関係者らから「トヨタとトヨタ系ディーラーはまだ一枚岩ではない」という声が聞こえてくる。

販売・サービスはディーラー頼みの自動車業界

トヨタがディーラー再編を含むMaaS戦略で一枚岩ではないのは、当然のことだと筆者は思う。

現状の自動車業界において、サービスという言葉は「サービス入庫」として使われることが最も多い。サービス入庫とは修理を指す。当然、サービス入庫に対応するのは自動車ディーラーである。顧客が自動車を購入する際に受ける「おもてなし」も、自動車ディーラーが行う。

自動車ディーラーとは、メーカーとは違う販売会社である。中にはメーカー資本の直営会社もあるが、独立系も少なくない。つまり、自動車メーカーは、自動車の製造と卸業を行う業態であり、小売りには販売会社を通じてしか関与していない。

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