トヨタが国内全店で全車種販売に舵切るワケ 車種数を半減、後発でもカーシェアに参入へ
トヨタ自動車は2020年代前半から2025年にかけて、4つあるトヨタブランドの国内販売チャネル(系列)を実質的に一本化する方針を固めた。それぞれの看板は残す方針だが、「クラウン」や「カローラ」などチャネルごとの専売車種を廃止し、約5000店ある国内の販売店全店で全車種を併売する体制に見直す。
さらに国内向け車種は現在の約60車種から半分の30車種に絞り効率化する。全国の販売店首脳が一堂に会する11月の代表者会議でこうした方針を伝える。
国内販売体制の大改革にトヨタが踏み出す背景には何があるのか。車に対する消費者意識が「保有」から「共有」に移る中、トヨタ全体としてモビリティサービスを提供する会社に変わらなければならないとの危機感が大きい。チャネル統合と開発車種の半減に合わせ、全店でシェアリングサービスを新たに開始する。
販売店同士の競争激化は必至
トヨタ幹部は「全国5000店であらゆる車を借りられるのは強みになる。『このお店では扱っていない』というのでは不便なサービスだ。将来のモビリティサービスをみたとき、どこのお店でもすべての車が提供できることが必要だ」と話す。全車種販売で販売店同士の競争が激しくなるのは必至だが、新車販売や整備に加え、シェアリングサービスなどで収益の多様化を促す狙いだ。
トヨタは消費者のライフスタイルなどに合わせて商品をチャネルごとにそろえてきた。高級車中心でもっとも歴史のあるトヨタ店では「クラウン」(東京はトヨペット店でも扱う)、中級車中心で2番目に古いトヨペット店ではSUV「ハリアー」、量販車種を扱うカローラ店では「カローラ」、コンパクト車中心のネッツ店では「ヴィッツ」など、チャネルごとの専売車種はその象徴だ。
ただ、こうしたチャネルは市場が拡大したときに作った販売政策であり、時代に合わなくなっていることも背景にある。新車販売の国内市場はピークだった1990年から現在では3分の2の500万台規模に縮小。日産自動車が2005年に2系列だったチャネルを一本化、ホンダも2006年に3系列のチャネルを統合し、全車種販売に踏み切った。
そんな中、トヨタは2004年に旧ネッツ店とビスタ店をネッツ店に統合したが、国内自動車業界では唯一、複数チャネルを持つ状態が続いていた。もっともトヨタも最近の新型車は複数のチャネルで併売しており、チャネルの一本化に向けた動きが出ていたともいえる。
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