トヨタは国内販売4チャネルを維持できるか 東京の4販社統合へ、カーシェア事業も視野に
国内自動車業界で唯一、販売チャネル(系列)ごとに違う車種を販売するトヨタ自動車。販売戦略を見直し、将来のチャネル統合も視野に動き始めた。狙いは販売の効率化にある。
トヨタは4月2日、2019年4月に東京の直営販売会社4社を統合すると発表。トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の4つの直営販社を一本化し、新会社を設立する。当面はチャネルを維持する方針だが、4チャネルの車種を一緒に売る店を設けるほか、高級車「レクサス」の販売も新会社が主導する体制に改める。
販売網再編待ったなしのトヨタ
トヨタは現在、トヨタブランドを4チャネルで展開。これまで消費者のライフスタイルやニーズに合わせて細かく分析した商品をチャネルごとにそろえてきた。高級車中心で最も歴史のあるトヨタ店では高級セダン「クラウン」(東京はトヨペット店でも扱う)、中級車中心で2番目に古いトヨペット店ではSUV(スポーツ多目的車)「ハリアー」、量販車種を扱うカローラ店では「カローラ」、コンパクト車中心のネッツ店では「ヴィッツ」など、チャネルごとの看板車種はその象徴だ。
国内自動車業界はかつて、トヨタのようにどのメーカーも競って複数のチャネルを保有し、それぞれのチャネルに合わせた車種を開発・販売してきた。国内販売を統括するトヨタの佐藤康彦専務は「4チャネルは市場が拡大していたときに作った流通政策」と指摘。市場拡大の中、消費者も豊富な車種から自分の好みにあった車種が選びやすく、チャネル政策は時代にマッチしていた。
ただ、新車販売の国内市場はピークだった1990年の777万台に比べ、現在では3分の2の500万台規模に縮小。次世代車などの開発費も増大する中、日産自動車は2005年に2系列だったチャネルを実質的に一本化。ホンダも2006年に3系列のチャネルを統合し、全車種販売に踏み切った。トヨタも2004年にネッツ店とビスタ店を統合したが、販売網の一層の再編が待ったなしと言われてきた。
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