トヨタは国内販売4チャネルを維持できるか 東京の4販社統合へ、カーシェア事業も視野に

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トヨタが2016年に発売した小型ミニバンの「タンク」「ルーミー」は全4系列で販売する(撮影:尾形文繁)

もっともトヨタは最近の新型車は軒並み複数のチャネルで併売している。小型SUV「C-HR」、小型ミニバン「タンク」「ルーミー」は全4チャネルで販売。2017年に発売したセダン「カムリ」もカローラ店の専売からトヨペット店、ネッツ店を加えた3チャネル販売に切り替えた。さらに今後は国内の新型車種数を整理縮小していく方針だ。「併売車種の比率はさらに高まる」(トヨタ幹部)としており、チャネルの事実上の統合が進んでいくのは間違いない。

また、これまでチャネルごとに全国統一の販売戦略を展開していたが、今年1月からは国内営業体制の軸をチャネルから地域に変更。全国を7つのブロックに分けて、チャネルの枠を超えた地域中心のエリア展開で販売戦略を立てる体制に変えるなど、「脱全国」へ舵を切り始めた。

販売店の改革をスムーズに進めるために、社長と副社長も各ブロックに”援軍”としてフォローする体制を構築。正式な役職ではなく象徴的な意味合いだが、北海道は吉田守孝副社長、東北は小林耕士副社長、関東は河合満副社長、中部は友山茂樹副社長、近畿はディディエ・ルロワ副社長、中四国は寺師茂樹副社長、九州は豊田章男社長が担当して、販売店改革に本気を見せる。

カーシェアの普及に危機感

東京の直系販売会社4社の統合もそうした改革の流れと軌を一にする。トヨタが大きな改革に踏み切った背景には、消費者が車の「保有」から「利用」に移る構造変化への危機感も大きい。特に東京など都市部ではカーシェアリングの台頭が顕著だ。2017年の国内カーシェアの会員数は108万人あまりとこの5年で6.5倍に増えた。昔のように新車販売や整備などメンテナンスだけでは自動車販売店の経営が難しくなるのは必至だ。

定休日の火曜日、トヨタ系列の販売店の前には試乗車がずらりと並んでいた。トヨタ東京販売ホールディングスでは、試乗客が少ない平日に、試乗車をカーシェア用に貸し出すことも視野に入れる(編集部撮影)

そこでトヨタもカーシェアリング事業を手掛ける考えも示す。2019年に統合されることになった東京の直系販売会社4社の親会社、トヨタ東京販売ホールディングス(HD)の吉武一郎社長は「東京直営だけでも250店舗ある。試乗車は1店舗あたり10台ぐらいある。その相当数は土日の利用。それを平日にシェアリングで使えれば風景が変わる」と指摘する。さらに月額定額制で月ごとに車を変更できるレンタルサービスなども検討しており、チャネルの枠を超えたサービスを東京の新会社でまず始めたいとの考えだ。

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