トヨタは国内販売4チャネルを維持できるか 東京の4販社統合へ、カーシェア事業も視野に

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1946年創立とトヨタの販売チャネルの中で、最も歴史がある「トヨタ店」。高級セダン「クラウン」を専売する(東京はトヨペット店でも扱う)(編集部撮影)

今後の焦点はチャネルの看板統一や東京での取り組みが全国にも波及するかどうかだ。トヨタ東京販売HDの吉武社長は「東京には135万人のお客様がいる。仮にチャネルを日産みたいに廃止したら大混乱するだろう。トヨペット店のグリーン、オレンジのカローラ店、青いネッツ店などを自分の店と認識してお客様は来られる」と話す。そのため、まずは看板の統一ありきではなく、共同店舗の推進に加え、整備工場や中古車の融通などバックヤードの統合を進めて販売の効率化を図っていく考えだ。

東京以外でトヨタ店などを経営する首脳は「営業体制が全国一律から地域別になったことは大歓迎だ。オールトヨタで協調する部分がやりやすくなる」と喜ぶ一方、チャネル一本化による全車種販売は懐疑的だ。「一カ所のお店に全車種があると、逆にお客様が困る。チャネル制はある意味不便なように見えて親切なシステムだ。チャネルごとに色合いがまったく違う」と指摘する。

チャネル統合の高いハードル

今回、東京でまず一歩を踏み出せたのは4販社がすべて直営店だったことが大きい。だが、全国でトヨタ車を扱う約280社、約5000店の多くは各地の地場資本による独立経営だ。トヨタは歴史的にみても、地元有力者による人的ネットワークを生かした販売力の強さに優位性がある。さらにチャネルごとに棲み分けし、たとえばトヨタ店とトヨペット店は長年のライバルとして切磋琢磨しながら成長してきただけに、統合は簡単ではない。

トヨタの佐藤専務は「(チャネル同士で)戦うものと一緒にやるものがある」と指摘した上で、「シェアリングサービスなどはオールトヨタで取り組むサービス。新しいサービスにチャネルはない。一番便利な形でやるのが流通だ。当面は4チャネルを維持すると販売店には言っているが、新サービスを始めるときの流通のあり方をみて、判断していきたい」と話す。

もっとも佐藤専務は「トヨタの販売店は地場資本。これがトヨタの強みだ。自分の故郷を何とかしたいという気持ちは強い。トヨタは地場のオーナーと一緒に今までも今もこれからもやっていくという気持ちに変わりはない。別資本なので最後の判断はオーナーによる。できるだけ地域のためになる話し合いを深く腹落ちするまで積極的にやる必要がある」と話す。

国内で圧倒的な存在感を持つトヨタの販売網。人口減少社会に突入し、シェアリングサービスが台頭する中でどう維持していくのか。トヨタの販売店改革はまだ手探り状態だ。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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