スタバが鎌倉から始めた「街に合う店」の正体 景観を損ねず、歴史や文化を尊重して設計
取材を行った場所は、プールに近いテラス席だ。少し涼しい日だったが、木の葉の緑とプール水面の水色が目に心地よい。特に人気の時季は、藤の花が咲く4月末から5月初めだという。
「店の前の道路の先には鎌倉山があります。それを背景にして溶け込むよう、落ち着いた外観にしました。店内は季節や時のうつろいを楽しめるように自然光が入るデザインにし、店内と庭を連続的につなぐ縁側も設えた。イスも特注で、今でも活躍しています」(髙島さん)
この店に向かう途中で出会った、近くに住む女性に聞いてみた。「私は最近あまり行かないけど、地元の人もよく利用しますよ。週末はいつも混んでいますね」と話していた。
全国に23店ある「リージョナル ランドマーク ストア」
日本における、スターバックスの店舗数は1363店(2018年6月末現在)とカフェのチェーン店としては国内最大だ。同社は、店を自宅や職場や学校ではない「サードプレイス」(第3の居場所)と位置づける。このコンセプトを踏まえて、それぞれの立地に合わせて店を展開するのだ。
現在力を入れているのが、日本の各地域の象徴となる店「リージョナル ランドマーク ストア」を広げることだ。「鎌倉御成町店」は その1号店だった。
「2005年当時、出店場所の候補先は、スターバックスの世界観にふさわしい立地で、人の通行が多い場所という条件でした。その意味で、鎌倉駅の東口に比べて人通りが少ない西口の、この場所は異端でした。でも、開業したら予想以上の集客があった。この店に来られるために、わざわざ西口に降りられたお客さまも目立ったほどです」(髙島さん)
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