ソフトバンクは特にこうした分野に先行的に出資をしてきた。世界の4大ライドシェア(乗用車の相乗り)サービス業者とされるアメリカのウーバー、中国の滴滴出行(ディディチューシン)、東南アジアのグラブ、インドのオラに次々出資して大株主となっている。自動運転では画像認識・処理の半導体大手のエヌビディアにも出資する。
孫社長はこうした投資戦略を「モビリティAI群戦略」と呼んで、強力に進めている。孫社長は「10兆円の投資ファンドを作って投資している。中でもモビリティ関連のAI企業への投資は中核をなすほど大きな塊になっている」と指摘する。
異業種との仲間作りを本格化
一方、トヨタも今年に入って、豊田社長が「クルマを造る会社からモビリティサービス会社に変わる」ことを宣言。ライドシェアなどに活用する車「イーパレット」の発表会ではこれまで名指しでライバルとしていた米アマゾンと提携。
6月にはグラブに10億ドルを出資。グラブのレンタカーにコネクテッドカーの機能を備えるほか、車両開発も検討している。
また8月には米ウーバーテクノロジーズに5億ドルを追加出資すると発表し、2021年に両社の自動運転技術を搭載したライドシェア専用車両をウーバーのサービスに導入する予定だ。またAIや自動運転ベンチャーへの出資、次世代モビリティを見据えたグループ再編など矢継ぎ早だ。
だが、ソフトバンクはさらにスピードが速い。トヨタが仲間に選んだ企業にはソフトバンクがすでに出資していたり、提携していたりするのが現状だ。豊田社長は「ドアを開けたら必ず孫さんが座っていた」と話す。
今回のトヨタとソフトバンクの提携については「半年前に若手のワーキンググループから始まった」とトヨタの友山茂樹副社長は説明するが、トヨタにとって「ソフトバンクの提携は必要不可欠だった」(豊田社長)。今回、合弁会社は折半ではなく、ソフトバンクがトヨタをわずかに上回った。トヨタの友山副社長は「便宜上の話であり(新会社では)ソフトバンクの宮川副社長が社長になるため」と話すにとどまった。
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