トヨタとソフトバンク、歴史的提携の舞台裏

歴史的な提携実現だが「同床異夢」の可能性も

ただ提携の詳細はほとんど語られず、今後両社で詰めていく方針だ。もっとも会見で注目を浴びたのは、“不仲説”のあった両社トップがそろって登壇したことだ。

実際、豊田社長は「トヨタとソフトバンクは相性が悪いのでは?と言う噂がちまたではあったようです」と自ら吐露。20年前の出来事をいきなり公開謝罪し、和解を演出してみせた。

20年前、豊田社長が課長、友山茂樹副社長が係長のとき、「ガズードットコム」という中古車のネット商談システムを立ち上げ、全国のディーラーを回っていた時のことだ。ソフトバンクの孫社長から新たなシステム導入を提案された。だが、「ガズー」にすべてをかけていた豊田社長と友山副社長が断った経緯がある。

立場逆転でトヨタから提携申し入れ

トヨタ社長は当時について、「今でこそ社長と副社長になりましたが、当時は血気盛んな課長と係長でございましたので、いろいろ失礼もあったと思います」と謝罪したうえで、「若気のいたりということで、孫さんは大目に見てくださったのではないかと感謝しております」と話した。

これに対して、孫社長は「怒りはないが(断られて)がっくりした。大トヨタにソフトバンクは小さかった。仰ぎ見る感じだった。だがいつかご縁がまたあると予感があった」と応じた。

会見でトヨタの豊田社長は自動車業界の変革期に対応する必要性を協調した(撮影:風間仁一郎)

だが、20年の時を経て、その立場は逆転していた。今回の提携でソフトバンクに頭を下げに行ったのは豊田社長の方だった。

自動車業界は今、「100年に1度の変革期」を迎え、競争の軸足はエンジンやトランスミッションなどの走行性能から、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の4テーマに移行。その結果、走行データの収集や分析、AI(人工知能)などソフト分野や、さらにそれを生かしたサービスの創出や基盤作りが重要になっている。まさにそこで強いのがIT業界や新興のサービス業者など異業種だ。

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