沖縄敗北が3選後の安倍政権を痛撃する理由 野党支援の玉城氏圧勝で参院選の不安拡大

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一方、今回の知事選で、野党共闘の牽引役だった自由党の小沢一郎代表は30日夜、側近で同党幹事長の玉城氏当選を受け、「基地問題について、はっきりとした民意が示された。国はこのことを重く受け止め反省し、しっかりと沖縄県と向き合って解決のため力を尽くすべきだ」と指摘した。小沢氏は今回の知事選を「来年の参院選での野党共闘への試金石」と位置づけていただけに、共産党とも連携した野党統一候補擁立を立憲民主、国民民主両党などに強く働きかける考えだ。

今回の知事選結果について、野党側は「県民の意思が改めて明確になった。政府与党の都合を押し付ける手法はもう通用しない」(福山哲郎立憲民主幹事長)、「沖縄県民が勝ち取った歴史的勝利だ」(志位和夫共産党委員長)などと高く評価。野党第1党の立憲民主は「これで、来年の参院選での野党共闘にも弾みがつく」(幹部)と野党統一候補擁立への手ごたえを強調した。

「土台」揺らぎ、真価問われる安倍人事

首相は30日夜、敗北を受けて「しょうがないね」と自民党幹部に電話で伝えるなど平静を装った。「地方選での打撃は時間がたてば消える」(政府筋)との経験からだ。しかし、県政奪還に向け国政選挙並みの態勢で臨んだ末の大差での敗北で、3選を受けての首相の政権運営は出だしで大きくつまづいたことは確かだ。「選挙の司令塔だった二階幹事長や菅官房長官の面子も丸つぶれ」(自民選対)となっただけに、政権の支柱でもある両氏の指導力や影響力にも陰りが出ることは避けられない。

さらに、総裁選での地方票で石破氏の善戦を許した首相にとっても「政治的にダブルパンチ」(竹下派幹部)となる。首相は総裁選で、沖縄の地方票で6割以上を獲得していただけに、党員・党友の支持とは逆に有権者全体に安倍批判の広がっていることが立証された格好だ。そのため、来年の統一地方選、参院選での「選挙の顔」にも疑問符が付きそうだ。

首相は2日、党・内閣人事を断行して同夜にも3選を受けての新体制を発足させる。人事に当たり「しっかりした土台」を力説し、すでに麻生太郎副総理兼財務相ら政権の骨格を維持する意向を示している首相だが、党内には「沖縄敗北で土台自体も揺らいでいる」(長老)との厳しい声が広がっており、2日は安倍人事の真価が厳しく問われる日となりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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