沖縄敗北が3選後の安倍政権を痛撃する理由 野党支援の玉城氏圧勝で参院選の不安拡大

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与党支持候補の敗北を受け、首相は30日夜、自民党幹部に対し「本当に残念だ」と語った。また、選挙戦を指揮した二階俊博幹事長は「敗因をよく分析し、党組織の拡充強化に努めつつ、県民の期待に応えられるようさらに研さん努力する」とのコメントを出すにとどめた。

前回知事選では自主投票だった公明党が今回は佐喜真氏支援でフル稼働する一方、二階氏や菅義偉官房長官ら政府与党幹部が繰り返し現地入りし、総裁選で善戦した石破茂元幹事長や人気者の小泉進次郎筆頭副幹事長も選挙戦後半に投入して必勝を期しただけに、自民党内には「政権への打撃は避けられない」(閣僚経験者)との声が広がっている。

今回知事選は翁長氏が8月に死去したことで、予定された11月から繰り上がった。与党は辺野古移設推進のため早々と前宜野湾市長の佐喜真氏を擁立した。これに対し、辺野古移設での手続きを強引に進める政府に抵抗し続けた翁長氏の遺志を継ぐ「オール沖縄」勢力は、沖縄3区選出衆院議員だった玉城氏に白羽の矢を立て、立憲民主、国民民主に共産、社民など安倍政権と対立する主要野党の事実上の統一候補として戦いを挑んだ。

与党の「地上戦」、新潟知事選の成功体験が裏目に

選挙戦は自民党総裁選に重なったことで、メディアの報道も控え目となり、県民の間では「本土の人たちには他人事(ひとごと)なのか」との不満も広がった。そうした中、政府・自民党は公明党の全面協力を得て「基礎票ではリード」(自民選対)との判断から、「地上戦」と呼ばれる徹底した組織選挙を展開した。

これに対し、共闘態勢を組んだ立憲民主など主要野党は前面に出ずに翁長県政を支えた「オール沖縄」の後方支援に回り、地元タレント出身の玉城氏は知名度を活かして派手な選挙パフォーマンスを軸とする「空中戦」で無党派層の支持を拡大し勝利を手繰り寄せた。

与党は今年6月の新潟県知事選を徹底した組織戦で競り勝ったことから、今回知事選でも同様の戦術をとった。しかし、強圧的な組織の引き締めが一般県民の反発を買い、「新潟での成功体験が裏目に出た」(自民長老)格好で、各メデイアの出口調査でも無党派層の7割が玉城氏に投票するという結果を招いた。

玉城氏は「県民の反対の意思を政府に突き付ける」と意気盛んで、与党内にも「また強引な手法をとれば、基地問題はさらに泥沼化する」(公明幹部)との不安が広がっている。アメリカ側は「辺野古移設が唯一の解決策」との態度を変えておらず、政府は「知事選結果に関係なく、粛々と移設への手続きを進める方針」(官邸筋)だが、「安倍政権の強圧的手法が県民の反発を招いた」(首相経験者)とされるだけに、当面は「玉城新知事の出方待ち」(沖縄選出議員)を余儀なくされそうだ。

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