元日本代表・市川大祐が馳せる指導者の想い 引退後、日々湧き上がる勝負の世界への渇望
2002年のサッカーワールドカップ日韓大会から早16年。日本代表メンバー23人のうち15人が現役を退き、多くが指導者としてのキャリアを踏み出している。
2017年から古巣の清水エスパルスに戻った市川大祐もその1人。昨年JFA公認B級指導者ライセンスを取得し、現在はスクールコーチとして幼稚園から小学生の子どもたちを指導している。
清水で現役生活を送っていた頃にはオズワルド・アルディレス、スティーブ・ペリマン、大木武(現・FC岐阜監督)、長谷川健太(FC東京監督)ら、日本代表時代にも岡田武史(JFL・FC今治代表)やフィリップ・トルシエといった個性豊かな監督の下でプレーしてきたが、コーチに転身した今は「かける言葉の1つで選手は変化する」と痛感。
指導の奥深さを体感すると同時に「勝負の世界の面白さ」への渇望がふつふつと湧き上がってくる日々だという。前編記事:『A代表最年少出場の市川大祐が語るW杯の経験』(10月8日配信)。
指導を通じて感じるのは言葉の大切さ
「今は火曜日と金曜日にジュニア(小学生)、ジュニアユース(中学生)のトレーニングを見に行って、水・木曜日は年少から小6までのスクールで教えています。週末はクラブのイベントに出たりしています。指導は難しいけど、面白さも感じます。
自分の思い描いていることが子どもたちに伝わらなかったりすると、終わった後にすごい悔しさを感じる。そういう意味では選手の時に似てますね。
指導していて感じるのは、言葉の大切さ。子どもたちは思い切りプレーしたいけど、ミスはしたくない。その一方でコーチからは『ミスを恐れるな』『アグレッシブに』と指示が出る。その境にいると思うんです。そこで僕が心がけている声かけは『ミスの質を高めよう』っていう表現。
ボールが来る前に準備していて何かをやろうと思って失敗するのと、ホントに何も準備してない単純なミスは違う。言われた方は気持ちが楽になるのかなと思います」と市川大祐は精一杯、子どもたちの気持ちに寄り添おうとしている。
この誠実さは過去に教わった指導者の影響が大きい。とりわけ、清水の黄金時代を築いたアルディレスとペリマンのインパクトは大だ。彼らはつねに選手の一挙手一投足に目を凝らし、いいプレーをすれば前向きに評価してくれた。その時、味わった喜びを彼は今も忘れていない。
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