金の底値買いは、ソロスに学べ! 【新連載】金価格はもう一段下落するのか?

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縮小

直近の金投資は成功裏には終わらなかったのだろうが、ソロス氏のこれまでの成功例が、なお、ファンドビジネスの世界では「栄光の実例」として語り継がれていることは事実だ。

生産コストを下回るようなら「買い」

金相場が下落した場合、低品位の金鉱床はコスト面から生産中止を余儀なくされる。すると、閉山→生産縮小→供給削減というプロセスを招く。一方で相場の下落は新たな需要を鼓舞し、買い手が市場にあふれる。すると、前述のように需要と供給のバランスに歪みが生じ、金相場は上昇の波に乗ることとなる。ここ4年ほど前からは新興国を中心とする公的金保有(国が外貨準備の一環として金を購入)が、米ドルの信認低下に伴って増大しており、下落局面では活発な動きを見せている。

今後の金相場はどうなるだろうか。米国の金融緩和縮小の開始時期、来年2月の債務上限タイムリミット、欧州の債務問題など、不透明な問題を抱えており、世界の金融市場は一荒れも、二荒れもありそうだ。その時点では、決まって金相場はドル建て、円建て両面で少なからず影響を受けることとなる。だが、前出のとおり、安値について筆者は生産コストが重要な指標になると信じている。 

相場ゆえに、時の勢い(旺盛な売り圧力)により瞬間的には生産コストを割り込むことがあっても、1トロイオンス1000ドル割れまで予想する米国大手証券会社の予測ほど、悲観的ではない。行きすぎた金相場の下げ局面では、年老いたとは言え、必ずソロス氏の触手が動くはずだ。彼の運用術にあこがれ、そして学んだファンド・マネジャーたちも多く金融市場に存在している。その点からも当分の間、金相場は1トロイオンス1200~1250ドルが底値となろう。

土肥 章 第一商品 社長

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どい あきら

1949年東京生まれ。1973年明治大学卒業後、徳力本店に入社。ディーリング畑を主に歩み、ディーリング技術の研さんと後進育成のための団体である東京ブリオンディーラーズクラブ設立に携わる。1991年第一商品入社。商品ファンド部長、企画本部長などを歴任後、2012年7月より同社代表取締役社長。現在、時事通信社・ロイターのコメンテーターを務めるなど、貴金属アナリストとして投資に関する幅広い知識を活かして活躍中。

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