震災復興に必要なのは、「ふまじめ」な思想だ

「課題先進地区」福島・浜通りを見つめた7年半

課題が大きいからこそ、そこに関わる人たちは「おいしい・たのしい・おもしろい」といったポジティブな動機を作り出し、自らそれらを楽しもうとする「ふまじめさ」を持たねばならないと思う。そのふまじめさが結果的に人々を動員し、大義名分を外し、大上段に語られるのではない、地に足のついた復興を(地域づくり)もたらしてくれると思うからだ。

筆者が有志とともに立ち上げた「いわき海洋調べ隊 うみラボ」という活動も、その中身は福島第一原発沖での海洋調査や放射線測定という「まじめ」なものだが、実際には、釣りの楽しさや、福島の魚の美味しさや魅力を伝えることに注力した。いかに大義ある活動でも、面白くなければ関わってくれない。楽しくなければ参加してもらえない。廃炉を見届けるまで活動を続けることもできない。そう考えるからだ。

筆者が友人たちと2016年にスタートさせた「さかなのば」という食のイベントも、風評被害払拭などという大義を掲げず、助成金をもらうこともなく、地元の魚屋で最高の魚と酒を楽しむというコンセプトを貫いている。目の前の魚が美味しいからこそ、地元の水産業や流通にも関心を持ってもらえる。人々の興味関心や何かの課題に関わろうというきっかけは、いつも欲望のなかに「結果として」生まれるものなのだと思う。

「まじめな」復興が故郷喪失をもたらす矛盾

しかし、実際に私の暮らすいわき市で私が感じてきたのは「まじめな」復興のほうであった。誰も復興の意味を問うことはなく、マジックワード化した復興を追いかけ、助成金に依存した地域再生が進められてきた。

例えば風評払拭事業は、大手の広告代理店を儲けさせたが、市内の生産者をイベントに駆り出して疲弊させた面がある。助成金を使った新商品開発は、類似品を作り出すだけで新たな名物をほとんど生み出していない。

賠償金は被災者の避難生活を助けたが、地域の分断を広げ、自立性をじわじわと奪った。海沿いの防潮堤は、土木建築業の復興バブルを生み出しつつも、町並みや眺望を傷つけ、そこにあった地域固有の価値を打ち消してしまったようにも思う。

被災地は、地震や津波で町を破壊された喪失感だけでなく、「私たちの望んだ復興はこんなはずではなかった」「かつての街並みが消えてしまった」という2度目の喪失を味わってもいる。

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