日経平均株価は「アベ新ゾーン」に突入する 日本株が今後も上昇しそうな「3つの理由」

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「出来高(売買代金)は株価に先行する」といわれるなか、このところ1日あたりの東証1部の売買代金も3兆~4兆円弱まで増大してきた。9月20日自民党総裁選挙で安倍晋三首相の3選が決まり、長期安定政権を評価した海外勢の買いに加え、損失限定を急ぐ売り方の買い戻しも加速したようだ。一方、2018年の海外勢は通商問題がくすぶる日本株に対して弱気に傾いていたため、足元まで4兆円超も売り越している。これは過去10年で最大の売越額だ。今後も海外勢による買い戻しの流れが続けば、相場の下支えとなりそうだ。

3つ目は中国株が戻りを強めていることだ。2018年3月の米中貿易摩擦を発端に上海総合指数は急落、9月中旬には2年8カ月ぶりの安値となる2650ポイント前後まで売られた。年初来ベース(2017年末値3307ポイント)ではマイナス20%近くに達していた。ところが、足元は2800ポイント台まで急回復している。

再び「アベ新ゾーン」突入へ

ここからの予想についても、やはりテクニカル面からのアプローチが有効だ。過去26年(1991~2017年)の上海総合指数は年ベースで12回下げており、その平均下落率はマイナス18.5%だ。要するに、今回はもともと売られ過ぎの水準に達していたところに、米中双方の追加関税措置が想定ほど強硬でなかったことから、足元の上海総合指数は下げ幅を縮め、年初来ベースでマイナス15%前後まで戻している。

足元の東京株式市場でも、下げが続いていた中国関連株が反発している。アメリカからの追加報復関税等の懸念は依然くすぶるものの、中国経済に対する過度な懸念も和らぎつつある。またドル高円安の追い風も吹き、業種別では機械株や電機株が戻りを強めている。短期で見ても中国の休場期間(10月1日~5日)のチャイナリスクは限定的と考えてもよさそうだ。

こうして見ると、日本株が一段と上昇する可能性は十分にありそうだ。なお、日経平均株価が2018年1月23日につけた年初来高値2万4124円を上回ると、安倍政権における高値更新となる。アベシンゾーにならって「アベ新ゾーン」に突入する日は27日にも到来するかもしれない。

最後に、いつものように日経平均株価のテクニカル上の重要な価格をあげておく。(9月26日時点)
2万5877円 三角保ち合いからみた上値メド①(2018年中値2万2370円+3507円)
2万5821円 200日線+15%
2万5364円 三角保ち合いからみた上値メド②(2018年8月安値2万1857円+3507円)
2万4124円 2018年1月高値(年初来プラス5.9%)
2万4033円 2018年9月26日終値
2万3098円 週足のマド(2018年2月急落時)
2万3002円 2018年5月戻り高値
2万2764円 2017年末値
2万2415円 200日線
2万1857円 2018年8月安値(トルコリラ急落)
2万0617円 2018年3月安値(年初来マイナス9.4%)

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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