相手に伝わらないのは「言い方」に問題がある 「伝える」のは、場数を要するスキルだ

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まずは、ステップ1「言いやすいことを言いやすい人に言う」ところからスタートしてください。このくらいのこと言わなくてもよいかな、といった程度の、通常なら「ま、いいか」でのみ込んでしまうようなことを言葉に出して相手に伝えることが大切です。

相手に対して「ちょっと気になる」「なんか違和感がある」といったことを取り上げるとよいでしょう。実は、この感覚は、放っておくとやがて「怒り」に転じる感覚なのです。たとえば、相手の仕事のやり方に「ちょっと気になる」ところがあったとします。言わないでいれば、その状況は変わらないので、だんだんと「イライラする」状態につながり、最終的に「腹が立つ」といった具合に、発展しやすいのです。

気持ちが大きく動いてしまうようになってから伝えるのは、イライラや怒りが相手に伝わりやすく、こちらの言い回しも穏やかに、とはいかないものです。しかし、言いやすい人に「なんか気になる」程度のことを伝えるのですから、こちらにも余裕がありますので、基本にのっとり冷静に伝えることができるはずです。これが、スムーズにできるようになってから次のステップです。

スモールステップで経験を積んでいく

ステップ2「言いやすい人に、言いにくいことを言う」。これも段階を踏んで、少しだけ言いにくいことから始めましょう。人によって、ハードルの高さはさまざまだと思いますが、たとえば「相手が忙しいときに、自分の仕事を手伝ってもらう」とか、「無理を言って仕事を代わってもらう」などから始めるのは、いかがでしょうか。

そして、これらができるようになって初めてステップ3「言いにくい人に言いやすいことを言う」のステップに進めます。最終的にステップ4「言いにくい人に言いにくいことを言う」というところまでたどり着くのは、かなりの時間と場数を要するのです。いきなりジャンプアップは難しく、スモールステップで経験を積んでいく必要があります。

相手、状況、内容によっても一筋縄ではいかないと思いますが、場数を踏んでいく中で、トライ&エラーを繰り返し、事実をシンプルに穏やかに伝えていくスキルが身に付きます。そして、相手の出方や状況に応じて臨機応変に対応することを感覚で学んでいき、対応の柔軟性が身に付いていくのです。「伝える」とことをあきらめずに、できることからトライしていただけることを願っています。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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