フェスも続々開催、「パンブーム」の新潮流 金額でコメを抜いたパン業界が向かう先

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中でも、「吉田パン」(葛飾区亀有)が、自他ともに認める「コッペパンブームの火付け役」だ。

コッペパンブームの火付け役、吉田パン(記者撮影)

吉田パンでは、客が注文した具材をガラスカウンター越しにその場でコッペパンにはさんで販売するのが特長。具材は30種類以上をそろえる。

「どうしても1つ販売するのに時間はかかってしまうが、手作り感やライブ感が受けている」(吉田パンの吉田知史オーナー)。

開店前から長蛇の列ができることも多く、コッペパンだけで1日2000個以上が売れる。

塩パンが業界で大ブレイク

こうした、昔ながらの定番パンが専門店化で見直されているのに加え、ブームが定着して見事定番パンの仲間入りを果たしたものが、塩パンだ。

パン業界ではブームの波が激しく、各地でさまざまな種類が開発されてはブームになるが下火になるのも早い。その中にあって、「フランスパンを売っているパン屋の数よりも、塩パンを置いている店の方が多くなったのではないか」(ベーカリーパートナー誌の小林氏)。製パンメーカー最大手の山崎製パンも、塩パンの派生品を多数投入して力を入れる。

さっぱりした塩味が消費者に人気なのはもちろんのこと、食パンと共通の生地で作れるなど、パン屋にとっても作りやすい商品だったことがブームの定着につながったようだ。

時代背景によって移りゆくパンのトレンド。これからも独特なパンがブームとして生まれては消え、おなじみのパンとしてパン屋の店頭で定着していくのかもしれない。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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