ドゥケ新大統領をはじめ、未来を見据えるコロンビアの政治家は「長い目で見れば難民を助けることが国益につながる」と考えている。ベネズエラの現体制が崩壊した後には、同国が再び最大の貿易相手国になると見ているのだ。だが、そのような未来がいつ訪れるのかは、誰にもわからない。
わかっているのはチャベス前大統領、およびマドゥロ現大統領の失政でベネズエラ経済が崩壊したということだ。両政権は国内に世界有数の石油資源を持ちながら、それによってもたらされた富を浪費した。ベネズエラの国家収入は急減し、インフレ率は100万%に達する見通しだ。本来なら豊かでいられたはずの国で、何百万もの国民が飢餓に苦しんでいる。
アメリカがすべきは軍事介入ではない
革命が起きてもおかしくない状況だが、マドゥロ氏は今のところ、軍隊を味方に引き入れることに成功している。巨大なコカイン密輸利権を与えて懐柔したのだ。
マドゥロ氏は最近、通貨ボリバルの単位を5ケタ切り下げるデノミを実施。新通貨の価値を、同国が独自発行する仮想通貨「ペトロ」に連動させるという生煮えのインフレ対策を打ち出した。ゴミの山の上に砂上の楼閣を建てるようなもので、ほとんど無意味だろう。
一方、アメリカのトランプ大統領は米軍がベネズエラに侵攻して政権を転覆すべきだ、との考えを側近にぶつけているとされるが、軍事介入は狂気のさただ。マドゥロ政権崩壊を熱望している南米諸国であっても、絶対に賛成しまい。
アメリカは軍事介入ではなく、難民問題に押し潰されそうになっている周辺国への支援を拡大すべきだ。ベネズエラ社会主義の崩壊に備えた国家再建計画も、そろそろ練り始めたほうがいいだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら