足立区に「かぼちゃの馬車」120棟集中の驚愕 管理会社も敬遠する「かぼちゃ畑」化の未来

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練馬区で「かぼちゃの馬車」を運営する男性はスマートデイズの破綻を受けて、シェアハウスの運営実績がある大手ハウスメーカーの子会社に管理を依頼したが、物件を見た後に断られてしまった。

「(開閉速度を調整する)ドアクローザーがなく、防火設備が不十分だと判断されたのではないか」とオーナーの男性は推測する。

オーナーの受難は終わらない

現在、こうした「管理会社難民」の受け皿となっているのは、シェアハウスの管理を専門とする会社だ。渋谷区に本社を置くイエノルールは、現在約30棟のスマートデイズ物件を管理している。

ただ、幸運にして管理を請け負ってもらえても、家賃が減額になる場合がほとんどだという。「管理を引き受けるまで、物件の瑕疵がわからないリスクがある。シェアハウス自体の数も多く、数日おきに価格競争になる場合もある」(イエノルールの岩田昌之・代表取締役)。

足立区でかぼちゃの馬車を保有し、イエノルールが管理しているという男性オーナーは、「スマートデイズ時代は共益費含め6万4000円だったが、周辺の家賃相場を考慮した結果、現在は4万円に下がってしまった」と嘆く。

管理会社難民の中には、スマートデイズの旧経営陣が関与していたり、ゴールデンゲインの子会社だった管理会社に漂着する者も少なくない。こうした会社に管理を依頼しているオーナーの多くは「入居率には満足している」と話すが、無理なスキームで破綻した会社の息がかかっている点で一抹の不安がよぎる。

建設会社や銀行がやり玉に挙がる一方、真にオーナーを苦しめるのは、自らの資産であるはずの物件という事実。足立区にあふれるかぼちゃの、あまりにも皮肉な実態だ。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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