足立区に「かぼちゃの馬車」120棟集中の驚愕

管理会社も敬遠する「かぼちゃ畑」化の未来

「満室ならば多少、家賃を上げてもよいのではないか」と聞くと、男性は「周辺にはシェアハウスがたくさん建っている。家賃を上げた途端に入居者が出ていってしまいそうで、怖くて上げられない」と打ち明ける。

足立区内の別の物件でも「かぼちゃの馬車」のロゴの上に、手書きで別の物件名が書き込まれている(記者撮影)

このシェアハウスを建てたのは、スマートデイズ同様にシェアハウスのサブリースを手掛け、今年5月に破産開始決定を受けたゴールデンゲイン。同じように、足立区内に数多くのシェアハウスを置き土産としていった。

スマートデイズやゴールデンゲインが展開していたビジネスモデルは、オーナーに土地を斡旋し、シェアハウスを建てさせ、それを一括で借り受け、入居者募集や管理を請け負う、サブリースだ。本来は入居者からの手数料や家賃の一部、管理料で収益を上げるのがスジだ。

だが実態は、土地の売却価格や建物の建築費を不当に水増ししてオーナーに請求し、差額を土地の販売会社や建設会社からキックバックさせることで会社を支えていた。

本業であるはずのアパートは稼働率が十分に高まらず、オーナーに家賃を支払うために新たなアパート建設を繰り返す自転車操業に陥った。その結果、市況を度外視したアパートが乱立し、需給バランスは崩壊した。今、ツケはすべてオーナーに向かっている。

管理会社もシェアハウスには難色

スマートデイズ破綻の余波は、家賃だけではない。

今年初め、足立区を中心にアパート管理を行う会社の元に、若い夫婦が相談にやって来た。話を聞くとシェアハウスを2棟保有しているが、管理会社からの送金が止まってしまったため、会社を変えたいとのこと。彼らが保有するシェアハウスとは、もちろん「かぼちゃの馬車」だ。

だが、この会社は管理を断った。理由について担当者は「シェアハウスは家賃設定が難しく、外国人労働者の宿舎にするなどの対応を取らないと、稼働率は高まらない。今後依頼があっても、引き受けないようにしている」と打ち明ける。

かぼちゃの馬車を管理していたスマートデイズが破綻したため、オーナーは新たな管理会社探しを余儀なくされた。冒頭のように看板が掛け替えられた物件は、管理会社が変わった証しだ。だがシェアハウスの管理には及び腰の会社も多い。

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