――海外の投資教育の現状はどうなっていますか。
日本ほど「金儲けは悪」という国はないから、投資教育の必要性も低い。私が現在住んでいるシンガポールなんかは、四六時中、金、金、金ですから、学校であえて教える必要すらないほどです。
――村上さんは具体的にはどんな投資教育を考えているのですか。
「お金には4つのステージがある」というのが大きな骨子です。「稼ぐ」「貯める」「殖やす」「使う」の4つです。どれもしっかり考えて行動すべきですが、多くの日本人はお金に関しては「貯める」にもっぱらフォーカスしてきました。日本における「貯める」は「貯め込む」になっているので問題ですが。私は「殖やす」にものすごくフォーカスし、殖やすことには自信があります。
100万人の子ども投資家を育成する
でも結局、お金は「使う」ためにあります。実際に多くの日本人は家を買い、自動車を買い、教育にお金をかけています。ほとんどの日本人は家、自動車、教育サービスをローンで購入しています。「借りる」が大きなテーマになっているわけです。「借りる」は「貯める」の反対側にあり大きなテーマです。
「使う」のオプションに寄付があります。寄付をして社会貢献をする選択肢です。寄付やボランティアも、子どもの頃から経験しておくべきことだと思っています。日本は「使う」の中でも「寄付する」が弱いようです。
――東日本大震災のころから、村上さんは随分と寄付やボランティア活動をしてきたそうですね。
もっと以前からしていますが、東日本大震災では10億円もの寄付を集めることができました。被災地で自らハンバーグを作って振る舞ったりもしました。
今年の広島豪雨ではヤフーでマッチング寄付を呼びかけました。個人からの寄付が集まったら、それと同額を私の財団から寄付するというものです。2週間で1000万円集まりましたので、それに私の財団からの1000万円を合わせて2000万円を被災地に寄付しました。1度寄付をすると、2回目、3回目の心理的なハードルは低くなります。
――今回の著書の「あとがきに代えて」に「100万人の子ども投資家育成を目指します」と書いています。
100万人の子どもたちに10万円ずつ預けて、実際に投資をしてもらおうかと考えています。お金を殖やすとはどういうことかを肌で感じてもらうためです。年内に1万人は始めたいと思っています。100万人までは10年か20年かかるかもしれませんが。
――お金をあげてしまうと、使わないで貯め込んだり、別のことに使ったりする子どもも出てくるのでは。
そうならないように、一定のルールは設けようと思っています。いったん貸す形にして、投資でおカネがなくなっても取り立てない、投資に使わなかったら返してもらうとか、そんな仕組みを考えています。
「おカネは汚いものでもなんでもなく、夢を実現するための道具なんだ」と子どもたちにわかってもらえるとありがたいと思っています。「難しそうだからやらない」と考えるか、それとも「難しそうだけど一歩前進させる」と考えるか。私は後者の人間だという、ただそれだけのことです。
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