――具体的にどんな話をするのですか。
「今年のサンマはおいしいのに安い、去年のサンマはまずいのに高かった。それはなぜだと思いますか」といった話から始めて、魚市場で値段が決まっていく仕組みを話しています。価格は、需要と供給で決まっていくのですから、とても重要な情報です。
「子どもの頃から、私の趣味は値札を見ること。買うことではないよ」とも付け加えています。ほかには「20歳代で老後の蓄えを考え始めてはいけない」という話もします。若いときにお金を貯めていいのは、「海外留学をしたい」などの明確な目的がある場合でしょう。そうした目的がないのなら、若い頃には貯蓄ではなく投資を始めるべきです。
親の給料やローンを知らなさすぎる
――学生との対話で気づいたことは。
親のキャッシュフローは「子どもがどんな大学に進学可能か」という、子ども自身の将来を左右する重要な情報です。それなのに、ほとんどの子どもは親の給料や住宅ローンの残債額を知らなすぎます。
「子どもはお金のことなんて考えなくていい」「お金の話をすることはよくないことだ」「お金は汚いものだ」という意識が、まだ日本社会の中で根強いからなのかもしれません。親子でよく相談もせずに、「学費は親に任せておけ」と、奨学金や学資ローンで多額の借金をしてでも子どもを大学に進学させている。「ウソだろ」と思うくらい、日本では学資ローンで破産する家庭が多い。このソリューション(解決策)は何だと思いますか。
――大学を無償化すべきという声もあります。
私は大反対です。借りた金は返さないといけません。ある程度のリスクを取ってでも行くべきなのが大学だと私は考えるからです。高校生の時に「このままおカネを借りてでも進学すべきなのか」「すぐ就職して稼ぐべきなのか」「家にお金がいくらあるのか、そのお金はなくなる可能性が高いのかどうか」を考えてほしい。親が交通事故で死亡したら無償化するなどの救済措置はあっていいと思いますが、全員が無償というのはどう考えてもおかしい。ではどうすべきか。まず親子でお金の話をきちんとすることです。親と子のコミュニケーションが大事。
――ソリューションは「投資教育」ということですか。
そうです。お金をもっと学んだうえで借りるべきかどうかを親子で考えてほしい。今は金余りでどこの金融機関も誰にでも貸してくれるらしいのですが、それはよくないことです。
お父さんもお母さんもお金のことを考えてほしいけれども、子どものほうがフレキシビリティは高い(頭がやわらかい)。「金を稼ぐやつは悪い人間だ」というのは世界中を見回しても日本くらいなものです。お金をたくさん持っていると、何か悪いことをしているのではないかと周囲から白い目で見られる。これはすごくつらいことです。
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