「四季報の達人」が教える10倍株探しの4条件 「分厚く、細かい」四季報はどこを読むべきか
2016年の相場は「1998年にそっくり」だった
前回、『会社四季報』(以下、四季報と呼ぶ)を最初から最後まで、およそ2000ページすべて読む“四季報読破”で出会った10倍株について、お話しした。今回は、四季報読破を通じて見つけた「10倍株の見つけ方・探し方」について解説したい。
不思議なものだが、四季報完全読破を続けていると、ふとした瞬間、過去の「あのときに似ているな」と感じることがある。2016年の株式相場を見ていて、「1998年にそっくりだ」と感じたことが、10倍株を探すポイントを見つけるきっかけとなった。
では、1998年と2016年の何が似ていたのか。まずは共通点としてあげられるのが超低金利である。
1998年、日本の10年国債金利は1619年イタリア・ジェノバでつけた史上最低金利の1.125%を下回り、さらに0.7%割れまで急低下した。これはおよそ400年ぶりに史上最低記録を更新した瞬間だった。
一方、2016年は日銀が金融市場初のマイナス金利を導入した年であり、どちらも歴史的な出来事、という点で共通している。
続いての共通点はデフレである。デフレは簡単にいうと物価がマイナスになることだが、1998年は前年に消費税引き上げがあったこともあり、消費者物価指数は戦後はじめてマイナスに突入した。戦後はじめての出来事だったため、新聞などでデフレの定義が解説されたほどだった。
その後、マクドナルドが店舗と曜日限定で、当時130円だったハンバーガーを65円にするテスト販売をスタート。麒麟麦酒(キリンビール)もビールより価格が安い発泡酒「麒麟淡麗〈生〉」を発売するなど、デフレが本格化していった。
同様に、2016年も2014年に消費税が8%に引き上げられたことで景気が悪化、デフレ傾向が加速し、消費者物価指数は4年ぶりにマイナスに転落した。