松本人志「ネットお笑い番組」が爆走するワケ Amazonビデオに「コンプライアンス」はない?

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地上波では「こんな悪だくみを仕掛けたら、不快に感じる視聴者が続出しそう」といった配慮から事前にブレーキがかかりそうなものでも、『ドキュメンタル』と同様に『フリーズ』もアクセル全開、迷いはなさそうです。このコンプライアンスに対するとらえ方の違いはメディアの特性上による違いもありますが、お国柄も影響します。

今田耕司と東野幸治が司会の『今田×東野のカリギュラ』。シーズン2も攻めの新企画がそろう(写真:(C)2018 YD Creation)

海外では賞金目当てにした、えげつないサバイバル企画のバラエティも人気を得ています。たとえば、ゲテモノをトッピングしたジュースを彼氏が飲み干すと、大量の虫が頭から降り注がれるボックスに入っている彼女を救い出すことができるといった内容も、イスラエルのあるカップル番組では許容範囲内です。オランダでは「オーガニックに栽培された大麻」をレシピに取り入れた料理番組がスタイリッシュに放送されています。コンプライアンスの基準をどこに置くかによっても、違いは出てくるのではないでしょうか。世界配信も行われている外資系の配信サービスならではの基準もありそうです。

Amazonプライム・ビデオで配信されている今田耕司と東野幸治司会の『今田×東野のカリギュラ』も地上波では成立しにくそうな企画満載の番組です。「マニアック過ぎて視聴率が見込めない」「コンプライアンス的にNG」「くだらなすぎる」といった地上波ではボツになりそうな企画を前面に押し出している番組です。

規制は本当に緩いのか?

企画のバリエーションは幅広く、さまざまな角度から視聴者の興味を引き出していくシリーズが並んでいます。東野幸治自ら鹿やイノシシ、カラスを狩って、それを食するところまで挑む、一切モザイクなしの狩猟シリーズから、オレオレ詐欺など諸犯罪にギリギリまで切り込む社会派、昭和のバラエティ番組のような過激さを求めた自作自演やらせドッキリ、性に閉鎖的な日本に疑問を投げかけるお色気ものなどさまざま。

シーズン2の第2話『人間火の鳥コンテスト』も地上波ではなかなか成立しにくい企画のひとつだ(写真:(C)2018 YD Creation)

つまるところ、『カリギュラ』はバラエティ番組の規制の限界に挑戦する企画を用意しているのでしょうか。番組を総合演出するフリーランスディレクターの姉崎正広さんに尋ねると、「そもそも地上波でできない企画をやろうとは思っていません。やりたいのは人間のリアルや世の中のリアルを追求すること。見せたいものをちゃんと見せたいのです。規制の種類が地上波とAmazonでは違うので、『カリギュラ』では見せたい部分を突き詰めることができるということなんだと思います」と答えが返ってきました。

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