新型iPhone発売目前、消えぬ「4年縛り」の火種 auとソフトバンクは見直しを表明したが…

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プログラムから抜ければ、「実質半額値引き」が受けられず、正価に戻るだけだから仕方がないと思うかもしれない。だが、4年縛りの大きな問題は、他社への乗り換えを困難にしていることにある。各社とも新規客の獲得のために、MNP客をかなり優遇している。条件が緩和されても、ユーザーがそのメリットを受けたり、格安スマホに乗り換えたりすることが難しいことに変わりはない。

9月上旬の週末、都内の携帯電話販売店を回ると、「iPhone 8 9月30日まで期間限定価格! 他社からのお乗り換え(MNP)は下取りなしでも一括ゼロ円」(都内の家電量販店内のau)といったチラシやのぼりがあちこちにあった。

MNPは端末がゼロ円になるだけでなく、1年目は通信料金も毎月1000円引きになるなど優遇が多い。昨秋に発売された「8」は、都市部など競争の激しいエリアでは、発売からわずか3カ月後の年末に、ゼロ円で販売されていたケースもあったようだ。MNPと既存ユーザー向けのプログラムとの差はあまりに大きい。

ある販売スタッフは、「今のやり方ならば例外を除き、同じ通信会社で契約を続けるメリットはほとんどない。多くの場合はMNPをしたほうが得になる」と認めた。そのうえで、そのMNPも封じ込める4年縛りのプログラムは「負の連鎖に引きずり込むようなもの。大きな声では言えないが、あまりお勧めできない」と話した。

料金議論に影響も

両社に、「条件緩和しても、機種変更が条件に残るならば拘束力は変わらないのでは」と尋ねると、「再加入は撤廃するが、機種変更をどうするかを含め、詳細はまだ決まっていない」などと苦しい答えが返ってきた。

高額化するiPhoneを買うときに「実質半額になります」という誘い文句は聞こえがよいが、利用者は表示上の値引きだけに惑わされず、本当に損をしないのかを慎重に見極めて、判断する必要がある。

折しも8月下旬、菅義偉官房長官が大手の携帯電話料金は高いとして「競争が働いていないと言わざるをえない。今より4割程度下げる余地がある」と発言、業界には激震が走った。

料金が高止まりする原因としては、4年縛りなど通信会社による拘束が競争を妨げている面や、MNP客を獲得するための大盤振る舞いの費用が料金に跳ね返っている部分も大きいだろう。両社が今後、プログラムをさらに改めないのであれば、政府の強行策に期待せざるをえないのかもしれない。

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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