部下との会話が噛み合わない人は何がダメか 本当に必要な「4つの承認」ができていない

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「機能する会話」のベースとして大切なのが、部下への「承認」です。「承認」と聞くと、「褒めるのは苦手なんだよな……」「部下の話に賛同できないのに、それを承認していたらストレスになる」という人も多くいるようです。

ですが、「承認=褒める」ではありません。また、承認と賛同はまったくの別物です。承認は、難しいことではありません。感情を込める必要も、部下を称賛する必要もありません。ただ、部下をよく観察して「できているところ」を見つけてシンプルに「これはできているよ」と指摘するだけです。

以前、課長向けの研修で「承認」の重要性について話したところ、受講生の方から「そういえば、上司から承認されて、すごくうれしくて、自信を取り戻したときのことを思い出しました」という感想をいただいたことがあります。

その方は、自分が新人だったとき、なかなか仕事で成果が出ず、落ち込んでいた時期があり、「この仕事は向いていないから辞めようかな」とまで思い詰めていました。そんなとき、上司との定期面談で「自分は全然仕事ができない。成果を出していない」と話したのです。

すると、上司から「君は、〇〇と△△はできているよ」と言われ、そのひと言でスランプから抜け出すことができたそうです。その方はこう言っていました。

「『自分にもできていることがあったんだ』『この人は自分のできないところだけでなく、できているところも見てくれていたんだ』と、すごくうれしかったし、安心したのを思い出しました。あのひと言がなかったら、会社を辞めていたかもしれません。できていることを指摘する“承認”って、確かにパワフルですね」

部下を承認することができれば、「この上司は、ちゃんと見てくれている。わかってくれている」という安心感が生まれ、それが信頼関係につながっていきます。人は自分のことを深く知ってくれている人に、自然と付いていきたくなるものなのです。

4つの「承認」をシーンごとに使い分ける

実は、承認には「結果承認」「行動承認」「存在承認」「第三者からの承認」という4つの種類があります。

これらをシーンによって使い分けることができるようになれば、部下の意見に同意できないときでも、無駄な対立や感情的なしこりを残さずに、仕事をスムーズに進めることができるようになります。では、1つずつ解説していきましょう。

① 結果承認

文字どおり、仕事の結果や成果を承認することです。たとえば、「今期は、前期より16%伸びているね」「商談成立おめでとう」といったもので、承認する対象がわかりやすいため、最も簡単にできるはずです。部下が成果を出したら、それがどんなに小さなものでも、積極的に承認するようにしましょう。

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