部下との会話が噛み合わない人は何がダメか 本当に必要な「4つの承認」ができていない

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② 行動承認

仕事は趣味や遊びではありませんから、結果を出すことをシビアに求められます。そのため、成果や結果が出たときしか部下を承認しないことが多くなってしまいがちです。しかし、経験の少ない部下が、成果・結果を出し続けるのは困難です。さらに、多くの部下は、自身の裁量が少ないため、仕事の成果・結果をコントロールできないことも多いものです。

一方で、成果や結果を出すための行動や努力といった「プロセス」はコントロールすることができます。たとえば「いつも掃除してくれてありがとう」「1人で企画書を作って、商談をまとめられるようになったね」など、このプロセスを承認することが「行動承認」です。

行動承認をすることによって、成果を出していない部下でも好ましい行動を増やしていくことができます。

「ありがとう」と伝えることも大事だ

③ 存在承認

見落としがちなのが、「あなたがいてくれて助かる」「ありがとう」という、部下の存在そのものへの承認です。

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つねに仕事に追われている上司は、部下に対する存在承認を忘れがちです。この状態が続くと、部下は「自分のことを気にかけてくれない」「自分は信頼、評価されていない」などと思い始め、徐々にモチベーションが落ちてしまいます。

存在承認は決して難しいことではありません。朝、笑顔であいさつする。何かしてもらったら「ありがとう」と伝える。名前を呼ぶ。元気がなさそうなら「どうしたの? 大丈夫?」と声をかける。ランチに誘うなど、簡単なことでいいのです。

指示待ち部下は、自信をなくしていることが多いものです。上司から存在を承認されることによって、部下は「上司が気にかけてくれている」「信頼、評価されている」と感じ、自ら考え動くためのモチベーションを手に入れることができるのです。

④ 第三者からの承認

これは、「〇〇さんが、あなたの仕事ぶりを褒めていたよ」という事実を伝えることです。

この「第三者からの承認」を「結果承認」や「行動承認」と併せて使うことで、上司の言動に対する信憑性が高まり、部下のモチベーションをより高めることができます。

以上、4つの承認を使い分けると、部下との関係性やモチベーションが劇的に変わります。あなたは、どこまで承認できていますか? ぜひ一度チェックしてみてください。

大平 信孝 メンタルコーチ

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おおひら のぶたか

株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役。メンタルコーチ。中央大学卒業。長野県出身。会社員時代、自身が部下育成に悩んだ経験から、脳科学とアドラー心理学を組み合わせた、独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。部下育成のためのメソッド「行動イノベーション・トーク」を広めるべく、「行動イノベーションアカデミー」を運営。これまでサポートしてきた企業は、IT、通信教育、商社、医療、美容、小売りなど40以上の業種にわたる。主な著書に、『本気で変わりたい人の行動イノベーション』(秀和システム)、『先延ばしは1冊のノートでなくなる』(大和書房)、『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』(かんき出版)など。

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