サヘル・ローズ「偽善者と言われたっていい」 同志たちと社会を変える活動を続けたい
サヘル:そうです。それはすごい財産です。2年前の東洋経済オンラインとの出会いも大きい変化でした。私の思いを発信していただけたので、今でも多くの方が取材をする際に東洋経済のインタビューのプリントアウトを持って取材をしてくださっています。
自分の意思というものは黙っていたら他人もわからないし、1人でコツコツやる部分にも限りがある。やはり報道の力を借りて発信することで得られるものは大きいです。報道によって1000人のうち2人か3人だけでも同じ意志を持ってくれたとしたら、それって本当に大きな力になるんだと思います。
なので、今のわたしは、素直に「仲間っていいな」って思えるようになりました。
お仕事で大先輩の方とお会いしたときに、私が書いた新聞のコラムやSNSでの発信を「見たよ。サヘルの活動についてもっと教えてよ」と言ってもらえるようになったんですよね。そこでお話をすると聞いてもらえる。たとえば難民問題を「サヘルの話がきっかけで知った」と言ってもらえてることがうれしいんです。
報道のあり方にコミットするようになった
山田:芸能界には意識の変化のようなものが起きているのでしょうか。
サヘル:私の周辺は変わってきたと感じています。この1、2年で著名な方々がどんどん発言するようになったし、おかしいことはおかしいと言うようになった。報道のあり方についても、多くの人が「おかしい!」とコミットするようになったと思います。
これまで、日本のエンターテイナーは、なかなか社会的な問題を発信できなかった。周りを取り巻く環境もあり、意思は持っていてもなかなか口に出せませんでした。でも、本当のエンターテイナーは、有名になるだけではなくて、その先を目指すことができる人だと思います。チャーリー・チャプリンがその典型ですよね。社会に問題の存在を提起したり、世の中を動かしたりできるのは、エンターテイナーです。私は、「世の中を動かすこと」も、エンターテイナーがやるべき仕事の1つだと思っています。
山田:仲間がいないと思ってコツコツ1人でいろいろな支援活動をやっていた時期に、自身の価値観が形成されて深いものになっていったのではないでしょうか。1人だった時期は無駄ではなかったと思います。
サヘル:そう言ってもらえるとうれしいです。ありがとうございます。
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