アントニオ猪木が語る、農業政策と、エネルギー政策
猪木:そのほかにも、アフリカにも行っています。世界各国で農業を視察体験し、実際、ブラジルで農業をやっていました。だから俺は、農業問題にも詳しいんですよ。
ムーギー:何を作られていたんですか。コーヒーですか?
猪木:コーヒーだけではなくて、落花生とか綿とか。
ムーギー:もともと猪木さんのご家族は、ブラジルに移民して、農業をなさっていたと聞いていますが。
猪木:コーヒー移民で14歳のときに移民しました。農業だけではなく、サトウキビをアルコール燃料に変える事業も行いました。岡山に林原(はやしばら)という会社があって、そこの指導を受けながらやっていました。
当時は、バイオという言葉がまだ世の中に一般化してなかった時代です。ちょうど47年ぐらい前の話。そういう経緯があって、エネルギー問題、特に食料問題には政治家になる前から興味がありました。
ムーギー:ここまで話を伺って、猪木さんが付加価値を出せるポイントをまとめますと、ひとつは外交分野。残りの2つが、農業とエネルギーということですね。この中で、今後6年間の最優先事項は、やはり北朝鮮外交でしょうか。
猪木:そこは、みなさんがいちばん期待していますね。日本国憲法についての問題提起も必要です。世界では、日本の憲法、たとえば憲法9条などもほとんど知られていません。
ムーギー:維新の会は、再軍備の急先鋒みたいなところがありますが、猪木さんと維新の会は、考えが違うということでしょうか。
猪木:憲法改正について、私は賛成です。維新も改正賛成派ですね。
グローバルエリートの講評
今回はアントニオ猪木氏の“使い方”に関して語ってもらった。猪木氏と話していて感じるのは、“ヒトの個性を活かした使い方”について意識が高く、たとえば元外交官である佐藤優氏の能力を外務省が活用できていなかったことにも触れられている。この「それぞれの個性・強みを引き出して活躍させるべき」という信念も、根底にはプロレスの「レスラーの個性を見いだして、そのキャラクターでブレイクさせる」という原体験が影響しているのだろうか。そんな猪木氏にとって、単なる客寄せパンダ扱いで、行動はほかの政治家に決められたとおりのことしかしない、というのは我慢できないことなのだろう。
猪木氏の強みを考えたとき、その人脈は極めて国際的であり、自身が暮らしたブラジルだけでなくキューバ、イラク、旧ソ連、北朝鮮といった米国および日本と関係の薄い、どちらかと言えば敵対してきた陣営の国々の指導者と人脈を築くのに成功している。よく猪木氏を色物扱いするメディアが多いが、この国際的人脈と驚異の突破力、そして国際的カリスマはもっと活かしようがあるのではないか。
今回の北朝鮮訪問に関しても、周囲の反対があっても強行してしまう猪木氏だが、これは「周りが辞めろ、無理だ、と騒ぎ立てても、結局、モハメッド・アリと闘って親友になった」という原体験が猪木氏の原動力のひとつになっているのであろう。
ただ、この猪木氏の国際性と外交での独自の強みを考えたとき、やはり維新の会との思想や政策的な開きの大きさは、いかんともしがたいように思える。そこで次回は、猪木氏が維新の会と組んだことの是非をどのように考えているのか、引き続き対談で探ってみたいと思う。
(司会・構成:佐々木紀彦、撮影:今井康一)
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