次の南北首脳会談をアメリカが気にする理由 韓国・文大統領は何を考えているのか

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文大統領のほうがアメリカのドナルド・トランプ大統領よりも同盟関係を重視しているように見える場面すらあったほどだ。トランプ大統領はシンガポールで金正恩委員長と会談した後、米韓の合同軍事演習を一方的にキャンセルした。青瓦台は事前に何も知らされていなかったはずだ。

南北融和の中身は前進していない

青瓦台の対北政策については、重要な事実が1つある。韓国政府はかなりの予算と時間を使って南北融和を宣伝しているが、現実の融和度合いは保守政権時代からほとんど何も変わっていないということだ。文政権で実現した共同事業は、朝鮮戦争による離散家族の再会のみ。観光、貿易、合弁事業は何1つ再開に至っていない。

では、青瓦台が重視する政策とは何か。4月の南北首脳会談で採択された板門店宣言と、8月15日の「光復節」(日本の植民地支配からの独立記念日)に行われた文大統領の演説が、それを読み解くヒントになる。

板門店宣言に盛り込まれた未実現の共同事業には、次のようなものがある。

・韓国ソウルと北朝鮮の新義州(シンウィジュ)をつなぐ京義線と日本海側を走る東海線の鉄道近代化を行う

・北朝鮮の開城(ケソン)に南北協同連絡事務所を設立する

・朝鮮戦争の休戦協定(1953年締結)を韓朝米3カ国もしくは韓朝米中4カ国による平和条約に転換する

だが、これらは大きく停滞している。北朝鮮が非核化に動き出すまで制裁を緩めることはない、というスタンスをアメリカ政府がとっているからだ。これは、非核化交渉が進展していないことの裏返しでもある。つまり文氏は、アメリカ政府の反感を買うことなく、南北共同事業を実施に移すことはできないということだ。

ここで思い出されるのが、2007年の南北共同宣言である。同宣言の内容は今年4月の南北首脳会談でも公式に再確認されたが、合意内容は今も大部分が実行されないままとなっている。

文氏の今後の政策を占う、もう1つの重要文書が8月15日の演説だ。文大統領は同演説で「政治的な統一は遠いが、南北間で平和を定着させ、人々が自由に往来できるようにし、1つの経済共同体を創り上げる。これが私たちにとっての真の解放だ」と述べた。

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