「メンツと礼」をタダだと思う人が落ちる地獄

発達障害の僕が発見した「見えない通貨」

しかし、固定化された人間関係の中で成果を出し続けなければならないのが仕事というものです。そういうときにどうしのぐか。これはずいぶん長いこと僕にとっての大きな課題でした。

起業して人間関係が楽になった、根本的理由

少し光が見えたと感じたのは、僕が起業をしてからでした。僕は一度起業し、失敗しています。それでも起業をして以来、対人コミュニケーションに関しては一気に楽になったと感じました。それは、「お金」というこの上なく明瞭な価値基盤を前提にした人間関係が増えたからです。

「お金」はビジネスをする人、商売人同士で、間違いなく共有できるモノサシです。空気を読めない発達障害者の僕でも「お金」ならわかる。与えれば喜ばれ、損をさせれば嫌われる。

商売人の合言葉は「一緒に儲けましょう」です。全員がルールの明確なゲームに興じているので、ゲームプレイヤーとしての価値を持っていれば排除されることはまずありません。もちろん、プレイヤーとしての価値がなければどんどん排除されますが、それはそれで当たり前のことに過ぎません。

むき出しのビジネスの世界は、「空気が読めない」人間にある意味でやさしいと言えます。なにせ、お金の流れさえ読めれば基本は大丈夫なのですから。

ヒエラルキーも友好関係も利害関係も、例外はありますが、大体は要するにお金の話です(とは言え、限定された情報からお金の流れを読むのも簡単なことではないのですが、空気よりは読みやすいです)。

以上は僕の私見であり、極論に見えるかもしれませんが、僕にとっては見えやすいルールであり、それは快適なものでした。

一方、商売人などと区切らない、一般的な人間関係では共通の価値基盤が非常に不明瞭です。これが「人間関係のルールがわからない」というものの正体だと思います。あなたや僕にはよくわからない価値の体系が存在し、われわれはそのゲームの中でルールもわからないままに負け続けている。そういうことでしょう。

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