営業から運用、調査と意外に広い保険の仕事【損保編】

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営業から運用、調査と意外に広い保険の仕事【損保編】

保険会社の仕事といえば、やはり真っ先に営業をイメージするかもしれない。損保ジャパンの岩本実氏は、現在、上場企業、中でも商社を相手に企業保険を担当する営業マンだ。

「もし入社直後に今の部署に配属されていたら、潰れていたかもしれない。でも今は全力疾走できている実感がある」(岩本氏)と、仕事に対する満足度は高い。

全館消灯後にも資料作成 熱意で勝ち取った契約

企業物件は内容と保険料の勝負。さらに契約面だけではなく、特に複雑な事故などが起きたとき、事故後の調整、コーディネート力が求められる仕事でもある。調整をスムーズに進めることができれば、新しい契約にも結びつく。逆もまた真なりで、コーディネートがうまくいかなければ、出入り禁止にもなりうる厳しい世界でもある。

ある時、某社による大口の家財保険の入札があるとの情報を聞きつけた。だが、その会社と損保ジャパンとの間には過去にトラブルがあり、入札にすら参加させてもらえなかった。だが、ここであきらめては、大口案件をみすみす見逃すことになる。岩本氏はなんとか入札だけでも参加させてほしいと、先方に熱心に頼み込んだ。そのかいあって、複数の保険会社が共同で保険を請け負う共同保険の形で、入札にだけは参加することができるようになった。

損保ジャパンの本社では、夜8時半には全館が消灯される。だが、入札参加が決まって以降、岩本氏は深夜残業もいとわず、手元の蛍光灯だけを頼りに、山のような資料と懸命に格闘を続け、契約書の作成に取り組む日々が続いた。

出来上がった契約書は、条件面では他社を抑えて断トツだった。しかし、“過去のしがらみ”で、それすら打ち消されてしまった。ただ、それでも共同保険のうちの一社として残ることはできた。「ベストポジションではないが、苦労したかいはあった」(岩本氏)。代理店の担当者からは「君が頑張ってくれたおかげだ」と、ねぎらいの言葉をかけられ、姿勢を評価された。

だが、そんな岩本氏でも入社当時は、「自分は営業に向いていない」と思っていた。入社直後に配属されたのは、公社・公団向けの企業保険営業。新人ゆえ保険の知識にも乏しく、代理店に営業に行っても何を話していいかわからず、すぐに帰ってしまうこともよくあった。新人のころは代理店に行くのが怖かったという。

入社4年目、ジョブ・チャレンジという社内公募制度を利用し、希望していた営業支援部署に異動。営業担当者に渡すパンフレットなど、営業支援ツールを開発する部署だ。この部署でコスト管理意識を身に付けた。また、さまざまな社内の部門と折衝する必要に迫られたため、社内ネットワークも広がった。時間的にも余裕があり、社内研修等を活用してスキルアップにも励んだ。しかし、時間が経つにつれ、また営業をしたいとの思いが強くなってきた。

「商社は要求も厳しいが、営業マンのスキルを高めるには絶好の顧客」(岩本氏)。そんな岩本氏だが、商社向け営業の経験を生かして、今後は「日系企業の海外進出を支援する部署に行きたい」と、新たな野望を胸に抱いている。

損保の主力商品といえば、一般企業の売上高に当たる正味収入保険料の6割超、会社によっては7割近くを占める自動車保険だ。主力であるだけに、営業にも自然と力が入る。特にあいおい損保はトヨタ系列だけあって、トヨタの自動車ディーラー営業には抜群の力を持っている。

あいおい損保の水谷匡男氏は、入社2年目にトヨタ販売店担当の営業になって以来、ディーラー営業一筋。10年近く地方営業を経験し、3年前に東京へ異動。トヨタが鳴り物入りで日本に逆上陸させた、高級車ブランド「レクサス」販売店の担当に就いた。

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