「数値目標はあるが目的のない職場」の対処法 目標設定に盛り込むべき5つの要素とは?

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「アクティブ・ノンアクション(active non-action):行動的な不行動」という言い回しがあります。動き回るものの、目的を伴う意識的行動をとっていないために、結果的に何ら実のあることをなしていない状況を指す言葉です。

ストア派の哲学者ルキウス・アンナエウス・セネカは、そのような状態を「怠惰な多忙」と呼び、こう書いています──「われわれにはわずかな時間しかないのではなく、多くの時間を浪費するのである。人間の生は、全体を立派に活用すれば、十分に長く、偉大なことを完遂できるよう潤沢に与えられている」(『生の短さについて』より)。

セネカが約2000年前の人物だということを考えると、人類の“ 怠惰な多忙” は、古今東西を貫く一大問題なのかもしれません。

確かに私たちの仕事生活は忙しさに追い立てられ、それがやむことはありません。雑多な業務をこなしていくと、そこそこの知識やスキルが身につき、それで何か仕事をやった気にはなります。しかし、1年、3年、5年が経ったとき、根本的に意義のある仕事をつくりだし、残しているかどうか……。

同様の興味深い言葉として、ハーバート・A・サイモン(1978年ノーベル経済学賞受賞)の『計画のグレシャムの法則』もあげられます。それは──「定型の処理的な仕事は、非定型の創造的な仕事を駆逐する」。

これはご存じ「悪貨は良貨を駆逐する」というグレシャムの法則をアレンジしたものです。既存の状態を維持させるためだけのルーチン業務に追い立てられると、私たちはついつい長期的・根本的な計を立てる業務を後回しにしてしまいがちです。

「実りある忙しさ」に変えるには

こうした“ 怠惰な多忙” の罠に落ちないために、時間を4つのマトリックスに分けて管理せよと提言するのが、スティーブン・R・コヴィーです。コヴィーは、忙しいさなかでも第Ⅱ領域(緊急でないが重要なこと)にきちんと着手することで、結果的に第Ⅰ領域(緊急で重要なこと)に振り回されることが少なくなってくると言います。

「なぜなら、あなたは問題の根っこに働きかけているのであり、問題が発生する以前に、それを防ぐ活動をしているからである。これは時間管理の用語で言うと、パレートの法則というものである。つまり80%の結果は20%の活動から生み出されるということである」

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