「発酵食品」の真実をどれだけ知っていますか 和菓子の「くず餅」も実は発酵食品だった

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81. お茶のなかでもプーアール茶は緑茶を麹で長期間熟成させて作る“後発酵茶”

82. 日本でも珍しい後発酵茶として徳島の「阿波番茶」、愛媛の「石鎚黒茶」、高知県の「碁石茶」などがある

83. 碁石茶は江戸時代からの伝統製法、2段階の微生物発酵で生産され、プーアール茶の20倍の植物性乳酸菌が含まれるともいわれる

84. タバスコはすり潰した唐辛子をオーク樽で密閉して発酵させ、約3年間熟成させた後、酢を加えて完成される

85. ドイツのザワークラウトは千切りキャベツを1カ月程発酵させた漬物の一種。酸味は発酵で生じた乳酸による

86. 酢酸菌のなかに発酵の過程で膜をつくるものも存在する。これを利用した食品がナタデココ

87. 関東風のくず餅(久寿餅)は小麦粉デンプンを乳酸菌で発酵させたお菓子で「和菓子で唯一の発酵食品」ともいわれる

88. バニラビーンズも発酵食品

青カビから発見したペニシリンが多くの人の命を救った

89. 抗生物質の多くは微生物の発酵により作り出される

90. 1929年に細菌学者フレミングが青カビから発見したペニシリンから世界初の抗生物質が作り出され、多くの人々が感染症から救われた。これは20世紀における偉大な発見のひとつに数えられる

91. 結核に効く抗生物質ストレプマイシンは放線菌という微生物が発酵により作り出すもの

92. 種なしブドウを作る際も発酵の働きが利用されている

93. 高級食材のすっぽんのなかには、品質を上げるため乳酸菌を含む水中で育てられるものもいる

94. 乳酸菌飲料のカルピスは、内モンゴルの発酵飲料「酸乳」をヒントに誕生した

95. カルピスは1919年7月7日に発売。パッケージの水玉模様は発売日の七夕にちなみ天の川を表している

塩こうじを使ったイワシ料理(写真:セーラム / PIXTA)

96. 2012年に塩麹が万能調味料として一躍ブームとなり、発酵食品が再評価されるきっかけとなった

97. 塩麹は麹に塩と水を加えて発酵させた日本の伝統的調味料。東北地方の三五八漬けの漬床がルーツとされる

98. A・オリゼー(麹菌)やS・セレビシエ(酵母)、L・フルクチボランス(火落菌)は漫画『もやしもん』の登場キャラクターとして一躍有名となった

99. 作中で菌たちがよく使う「かもすぞ」というフレーズは「発酵する」「腐敗する」「繁殖する」の意味

100. 8月5日は「発酵の日」

参考文献・HP:『日本の伝統 発酵の科学 微生物が生み出す「旨さ」の秘密』(講談社)、『発酵食品礼讃』(文藝春秋)、『もっと知ろう! 発酵のちから (食べものが大へんしん!発酵のひみつ)』(ほるぷ出版)、〈キリン〉ホームページ、ほか関連サイト

(文:寺田 薫、モノ・マガジン2018年9月16日号より転載)

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