「徹子の部屋」の花を生け続ける女性の生き様

「消えもの」を担当して50年

「高倉さんがお好きな花が“都忘れ”だと聞き、千葉県の房総まで調達に行きました。

石橋恵三子さん(撮影:北村史成)

収録後、花束にしてお渡ししたところ、高倉さんは1本抜いて、“ありがとう”と言いながら差し出してくださったんです。さらにその後、《あの時はありがとう》と手紙まで……。手紙は今でも大切にしまっています

消えもの係の開拓者でもある石橋さんにはお手本がなく師匠もいない。苦労はもちろん、不安がなかったわけではないはずだ。

「何かのインタビューで徹子さんが“花は第二のゲストです”とおっしゃったと聞いて、私の仕事にそれほどの価値を見いだしてくださっていることに胸が震えるほどの感動を覚えました。徹子さんのこの言葉が自分の仕事に自信を持てた大きな転機となったのは間違いありません

仕事への熱意とご主人の理解

働く女性の先駆者ともいえる石橋さん。その間、結婚、出産、子育てもすべて経験してきた。仕事と家庭の両立には、ご主人の理解が大きかったという。

「主人がテレビ局の社員だったこともあり、結婚後も“君にしかできない仕事なのだから”と続けることを応援してくれました。とはいえ、家事も育児も手伝ってくれたわけではないんですよ(笑)。でも、当時もいまも、働く私を応援してくれる主人には感謝しています

収録中には花びら1枚、落ちないように心を配る(撮影:北村史成)

77歳の現在まで元気に第一線で活躍し続ける秘訣は何なのだろう。

「私の場合、先輩も上司もいなかったので、私が“これでいい”と決めれば、それですむ仕事です。だからこそ手を抜くことはしたくありませんでした。誰かに決められた合格点でなく、自分で決めた合格点を常に目指してきました。

つまり私の仕事に対する満足は、人からの評価ではなく“自分で納得できる仕事ができたか”どうか。結果に左右されず、一生懸命、自分が納得できる合格点の仕事をしていれば、“また次、お願いね”という信頼関係が育っていきます。そして、それがまた次につながって……。その繰り返しで、いつの間にか50年も、この仕事を続けることができたのだと思います」

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