「宇宙関連ビジネス」が一斉に動き始めたワケ

背景には宇宙データ活用への期待がある

クロスデータアライアンスには21の事業者・組織が加わった(記者撮影)

衛星の画像データはさまざまな産業での活用が想定されている。農業であれば、イネのタンパク質の量を計測し、作物の状況を把握するのに利用することが期待される。小売業であれば、車の数を計測することで新店舗の最適な立地を推測することができるかもしれない。

経産省の国澤氏は、人工衛星から得られたデータを利用することで新たな需要が生まれ、宇宙産業にも民需の循環が生まれると見る。日本政府は「宇宙産業ビジョン2030」を掲げており、2017年で1.2兆円の国内市場を2030年代の早期に倍増させることを目指している。

まずはロケットへの需要が増加中

宇宙データへの関心の高まりと比例して必要となるのが、画像データを撮影するための人工衛星の打ち上げだ。

しかし、衛星を打ち上げるためのロケットは高価で、NASA(米国航空宇宙局)やJAXAのような公的機関が打ち上げるロケット数も需要に応じて簡単に増やせるわけではない。そこで増えているのが、民間事業者による小型ロケットの開発だ。

元ライブドア社長で実業家の堀江貴文氏が創業に携わったインターステラテクノロジズのほか、7月にはキヤノン電子が、IHIエアロスペースなどと共同出資するロケットの企画会社を事業会社化すると発表。社名を「スペースワン」へと変更し、2021年度中の人工衛星打ち上げサービス開始を目指す。

民間参入の背景にあるのが、ロケット開発コストの減少だ。JAXAの佐藤寿晃・第一宇宙技術部門事業推進部長は「従来のロケットの部品は宇宙に飛ばすことを理由に特注しているものが多かったが、近年はスマートフォンにも使われているような半導体など民生部品をロケットに活用することが可能になった」と説明する。

三菱重工業とJAXAが共同開発する新型ロケット「H3」も、自動車部品等の民生品を活用することなどで本体の価格を従来の半額近い50億円程度に抑えることを試みている。民間のロケット開発でも、民生部品を使うことで半値近い額での打ち上げを掲げる企業が多い。

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