松本人志が失敗重ねて達した唯一無二の境地 2度の低迷期を乗り越えた「笑いのカリスマ」
2012年には『HEY!HEY!HEY!』、2013年には『爆笑大日本アカン警察』(フジテレビ系)、『リンカーン』(TBS系)が終了。テレビタレントとしてもヒット番組に恵まれず、不振が続いていた。「ダウンタウンもそろそろ限界か」というムードが漂い始めていた。
「笑いの求道者」としてのイメージが強かった
ところが、ここからダウンタウンは見事な復活を果たした。2014年に始まった『水曜日のダウンタウン』は、とがった笑いを提供する番組として話題を振りまいている。また、浜田はMCとして活躍の場を広げている。
2012年に始まった『プレバト!!』は、芸能人が俳句の才能を競う企画がヒットしたのをきっかけに視聴率が急上昇。安定して高い数字を取る人気番組になった。2018年には浜田がMCを務める『ジャンクSPORTS』がレギュラー番組として復活している。
2度の低迷期を脱して、ダウンタウンはいまもはるかな高みにいる。コンビとしてのレギュラー番組が1本もないとんねるずやウッチャンナンチャンと比べても、ダウンタウンの活躍ぶりは突出している。ダウンタウンは、なぜ独り勝ちすることができたのだろうか。
『ごっつええ感じ』の終了後にダウンタウンが1度目の低迷期を迎えたのは、松本に「孤高の天才」というイメージがついて回っていたからだ。『一人ごっつ』『新・一人ごっつ』『松ごっつ』(いずれもフジテレビ系)という一連の番組では、作務衣を着て頭にタオルを巻いた松本が、まるで修行僧のようにストイックに自らの笑いを追求していた。
この時期の松本は、単なる「メジャーなテレビタレント」ではなく、「笑いの求道者」のようなイメージが強かった。また、『ごっつええ感じ』を降板したことで、いざとなれば世間の価値基準を無視して自分のこだわりを押しとおす人間なのだという印象が広まった。
松本はこのまま孤高のカリスマを貫くのか、それとも別の道を行くのか。この時期には本人もどちらに進むべきか決め切れず、迷っているように見えた。
2001年に始まった『M-1グランプリ』(朝日放送制作、テレビ朝日系)で松本は審査員を務めることになった。このときには、まだ現役の最前線にいる松本が他の芸人の審査をするということ自体が大きな話題になった。初回は番組全体にも緊張感が漂っていたし、「あの松本がどんな採点をするのか」という世間の関心も高かった。
2001年大会では松本の採点にもやや偏りが見られた。本人もどういうスタンスで審査を行うのか手探りの状態だったのではないか。当時の松本には、「自分も現役のプレイヤーである」という自負心のようなものが漂っていた。
ただ、回を重ねるごとに松本の審査員としての採点やコメントにも安定感が出てきて、落ち着きが感じられるようになった。それにともなって『M-1』も年々もり上がりを見せていき、視聴率も上昇していった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら