松本人志が失敗重ねて達した唯一無二の境地

2度の低迷期を乗り越えた「笑いのカリスマ」

松本は徐々に権威として祭り上げられる自分のキャラクターを受け入れ、それを自然な形で見せるようになっていった。

今では『M-1』で審査員を務めるだけではなく、『キングオブコント』(TBS系)でも審査を行っているし、大喜利番組『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)ではチェアマンとして芸人たちの大喜利バトルの解説役を務めている。

「権威であること」をうまく活かした松本人志

松本が権威としての自分をテレビの企画にうまく落とし込んだ最初の事例は、2004年に始まった『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)である。

カジノ風のセットで、松本が出演者の名前が書かれたサイコロを振り、出た目に従って出演者がとっておきの「すべらない話」を披露する、という企画だ。

権威としての松本が話を聞き、松本が笑う。そして、「すべらんなあ」と決めせりふを言う。松本はここで自分の権威を巧みに活用して、面白い番組を成立させることに成功したのだ。その後に始まった『IPPONグランプリ』も、次項で述べる『ドキュメンタル』も基本的な構造は同じである。

松本は権威としての自分を受け入れ、それを生かすことで低迷期を乗り越えて、新たなかたちでカリスマ性を発揮するようになった。

2010年ごろからダウンタウンが2度目の低迷期に入ったのは、松本の映画とNHKのコント番組が立て続けに不振に終わったからだ。

ダウンタウンや松本が芸人として高く評価されている証しの1つとして、その作品がいずれも圧倒的なセールスを記録している、ということが挙げられる。『ごっつええ感じ』『ガキの使い』『すべらない話』などのDVD作品はどれも爆発的にヒットしている。

アーティストとして作品を生み出してきた松本は、「松本のつくるものは、お金を出してでも見たい」と思う大勢のファンによって支えられてきた。

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