東証の新株価指数から外れた100社 この企業が当選し、あの企業は落選した

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それを勘案すると、上から5番目の大塚ホールディングスは上場日が2010年12月であり、スクリーニングの段階ではじかれたと考えられる。

同じことが言えるのは、サントリー食品インターナショナル(13年7月新規上場)、カルビー(11年3月新規上場)など。いずれもROEは2ケタ台だ。

逆に言えば、スクリーニングの段階で漏れた企業は、上場から3年が経過すれば、スコアリングの結果次第で、新指数の銘柄に採用される可能性があるため、”当選予備軍”という見方もできる。

新指数はスクリーニングから定量的な指標に基づいたスコアリングに加えて、定性的な要素による加点も行っている。具体的には、①社外取締役の選任(2人以上)、②IFRS(国際会計基準)採用または採用を予定、③決算情報英文資料のTDnetを通じた開示、という3項目。これは、「グローバルな投資基準に求められる諸条件を満たした」という指数の狙いを反映したものだろう。

 

6日に会見を行ったJPXグループの斉藤惇社長(写真左)。新指数はどこまでメジャーになれるか

一連の選定は、「すべて公表情報に基づいて行っている」(JPXグループ・広報)というように、JPXグループが企業に聞き出した特別な情報を活用しているわけではない。そのため、企業が指数の採用をめざすならば、シンプルにROEの向上と営業利益の拡大を進めればいいということになる。

指数は毎年1回、6月を選定基準日として8月に銘柄の入れ替えが行われる。新指数がどれだけの知名度を上げるのかは未知数だが、毎年夏頃、上場企業の経営者が「ひょっとしたら、今年は構成銘柄から落ちるかもしれない」「今年こそ、指数採用銘柄に入るだろうか…」などと、気をもむことになるかもしれない。来年、落選組から脱する企業はどれだけ出てくるだろうか。

井下 健悟 東洋経済 記者

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いのした けんご / Kengo Inoshita

食品、自動車、通信、電力、金融業界の業界担当、東洋経済オンライン編集部、週刊東洋経済編集部などを経て、2023年4月より東洋経済オンライン編集長。

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