40歳代や50歳代の女性社員が多い会社は、地方の製造業の優良企業に多いパターンで、離職率も低い。
北川鉄工所は出産退職が普通だった時代から、従業員のニーズに合わせて少しずつ制度を整えてきたため、この世代の女性が多く残っている。無理に対応したわけではないので、実は進んだ取り組みをしていることを、自らが認識していないケースもある。こうした自然体の会社が男女問わず、働きやすい職場であることが多い。
ただ課題がないわけではない。たとえば女性管理職ゼロなど、女性登用が進んでいない状況だ。最近、取り組みも開始しているので、今後の進化に期待したい。
さて、この離職者が同社全体でどのくらいの比率になるかを見るため、2015年度の従業員数(1257人)に対する比率も掲載した。この数値を「離職率」とすると0.6%となる。
ちなみに厚生労働省の「平成29年雇用動向調査」によると、個人的理由での離職率は11.1%。定義が異なるので、比較する際には注意が必要だが、その10分の1以下となっている。
厚労省の統計では、平均離職率は11.1%
2位は大日精化工業、三井不動産、エフ・シー・シーの3社が離職者9人で並ぶ。離職率はそれぞれ0.6%、0.7%、0.8%と、北川鉄工所と同様、1%を切っている。
大日精化工業はインキや樹脂などを展開する化学メーカー。年間総労働時間は1887.7時間で、『CSR企業白書』に掲載している全体平均1987.7時間よりちょうど100時間少ない。
三井不動産は三菱地所と並ぶ総合不動産の双璧だ。働き方改革に加え、社内の育児理解を高める施策を進める。育児・介護を行わなければならない社員向けの在宅勤務制度を導入するなど、男女問わず、家庭と仕事の両立を支援している。
エフ・シー・シーはクラッチ専業メーカーで、2輪では世界一という優良企業である。有給休暇取得率は89.3%と高い。休みをしっかり取ることができ、プライベートを充実させることができる。
以下、5位ダイヘン11人、6位日本曹達12人、7位ツムラなど5社が13人で続く。上位会社の多くは業績が安定しており、さらに働きやすい制度を導入しているのが特徴だ。
今回のランキングで紹介した100位(103社)の各数値の平均は、離職率1.5%、平均年齢41.7歳、勤続年数17.1年だった。一般的に離職率の低い企業は、長期雇用など、いわゆる日本的経営の色合いが強いことが多い。新卒は若いうちは大きな差を付けず、じっくり育て、できるだけ長く会社に残ってほしいと考えているようだ。
ただし、勘違いしない方がよい。ビジネスの競争はグローバル化で激しさを増している。じっくり育てるからといって、職場が必ずしものんびりしているわけではない。
一方で、IT企業などを中心に、人の入れ替わりが一定数存在する業種もある。新入社員から初任給で差を付ける会社も出てきた。ある程度の年数働いて”卒業”し、別の職場に移りたいという気質の若者も増えている。こうした時代の流れの中、どのようなタイプの会社が自分にあっているのか、就職活動でじっくり考えた方がよいだろう。
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