自動車関連諸税の欠陥を放置していいのか 長く保有すれば増税になる不可思議さ

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古い自動車を増税する目的は、環境負荷の少ない車種への乗り替えを促すことだが、話の筋が通らない。自動車重量税は、前述のように自動車ユーザーが道路から多くの恩恵を受けるために、税金も多く負担する考え方に基づく。そのために課税も、道路への負荷に影響する車両重量に応じて行う。

多額の税金を巻き上げるのが今の自動車税制

しかし自動車が古くなっても車両重量は重くならず、古くなったことで仮に環境負荷が増えても、道路の損傷とは無関係だ。自動車が古くなることと、自動車重量税の間に因果関係はなく、増税する根拠に値しない。

また古い自動車を新車に変更すれば、環境負荷が軽減される(つまりエコロジーにつながる)という考え方にも疑問がある。新しい自動車を開発→製造→流通させる過程でも化石燃料を消費して、二酸化炭素を排出するからだ。13年以上を経過した古い自動車を廃棄して新型車に乗り替えさせることが、環境に優しいとはいえない。

仮にそれを主張して増税するなら、増税の効果となる古い車両の抹消と環境負荷の低減データを示すべきだが、それも行われていない。

現実はむしろ逆で、自動車の高齢化はさらに進んでいる。人間の平均年齢に相当する平均車齢は、2017年の時点で8.53年になり、平均寿命に相当する平均耐用年数は12.91年まで伸びた。平均耐用年数がほぼ13年弱だから、それを超えて、増税されながら使われている車両も多い。

つまり自動車重量税を増税しても、環境性能を促進させる効果は得られず、ユーザーを苦しめるだけだ。

そして自動車税制を決める役人や政治家は、どういう人たちが、どのような気持ちで、13年以上を経過する古い車両を使っているか、調べたり考えたりしたことがあるのだろうか。大半が新車を買いたくてもそれができず、我慢して乗り続けている。そういった人たちから、多額の税金を巻き上げるのが今の自動車税制だ。

特に高齢者には目を向けねばならない。今は公共の交通機関が未発達な地域で、65歳以上の人口構成比が高まっている。これらの地域では軽自動車の普及率が高く、佐賀県/鳥取県/長野県などでは、10世帯当たり10台以上の軽自動車が使われている。

しかもこれらの地域で多く見られるのは、新しい軽自動車ではない。公共の交通機関が使いにくいために、高齢者が、古い軽自動車で通院や買い物をしているのが現実だ。これらの古い軽自動車にも増税が行われ、高齢になった人たちのライフラインが危険にさらされている。ちなみに東京都の軽自動車普及率は、10世帯当たり1台少々だから、霞が関からは軽自動車の現実は見えない。

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